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妊娠中のお寿司の話:ほむスペ文字起こし
ほむスペ(Twitterのスペース)を
定期的におこなっています。
その文字起こしです。
広く公開する記事に比較し
より個人的な見解を含む場合があります。
そのため、限定公開としています。
誤字・脱字はご了承くださいませ。
※この記事は、マガジン
『音声メディアの文字起こしマガジン』
に収録しています。
2022年8月30日のスペースの文字起こしです。
はい、こんばんは。
今日もよろしくお願いいたします。
最近、SNSで『妊娠しているとお寿司はたべちゃいけないの?』というツイートが拡散しているのを拝見しました。
おそらく、生のお魚に関してのお話なのだろうなあと思いながらみていましたが、妊娠中に魚を食べることに関しては、知っておきたいことがいくつかあります。
まずひとつめは、魚の中に入っている水銀を少なくしようとする観点です。
そしてもうひとつは、お母さんの感染、そしてお子さんへの感染を予防するっていう観点です。
その二点から考えていく必要性があるのですが、それがごっちゃになりやすいのですね。
※2022/12/6追記。
妊娠中のお寿司に対し、選択肢になる『加熱寿司』の情報をいただいたので、一番最後に付記いたします。そのうえで、この記事は全文無料とすることにいたしました。妊婦さんの食がひろがれば良いなと願っております。
魚に含まれる水銀
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まず一つ目が魚の水銀に関してです。
水銀は、魚を加熱をしたとしても残りますから、生でも過熱をしても関係はありません。
そして水銀は、食物連鎖って言って、ちいさい魚を大きい魚が食べて、大きい魚に水銀が蓄積されていくということになります。ですので、大きい魚というか、食物連鎖で後にある方が水銀をたくさん蓄積しやすいのです。
どの魚を大きいと判断するのかが難しいのですが、『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)』にパンフレットがあってわかりやすいです。
ですのでそちらを見ていただければ良いかと思いまが、例えばクロマグロ、メバチマグロだと40g程度。まあ一食分がだいたい80g程度と考えられているのですが、その設定では40g程度で一週間に食べる推奨量に達してしまうってことになります。
お魚について知っておいてほしいこと(厚生労働省)
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一方で、同じマグロでも、例えばメジマグロとかキハダマグロとかビンナガとかはあまり水銀に対する注意はいらないそうです。
そして例えばツナ缶とかのほうもあんまり問題なかったりとか。
これらはまず、水銀の話と言うことですね。
水銀は、お子さんが音を聞いたときの反応とかがわずかながら遅れるようになる可能性があります。
ただし、今申し上げた量よりも多い量を食べたら、すぐそういった事が起こるのかというとそういうわけでは必ずしもありません。
今申し上げた目安よりもずっと多い量をずっと食べ続けた場合の話なので、今まで食べたことがある、大丈夫だろうかと、今の段階で心配される必要性はないでしょう。
ただ、そういった目安が開示されていますので、確認していただければいいんじゃないかなと思います。
妊娠中は、生理的に免疫力がひくくなる
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次の話にうつりましょう。
お母さんからお子さんの方へ感染を予防するという、母子感染予防にいきます。
そもそも妊娠中は様々なホルモンが変化していて、お母さんご自身の免疫機能が低下しているんですね。例えばお母さんが妊娠中だとして、お腹の中にはお子さんがいらっしゃるわけですよね。
そうすると、お子さんって遺伝子の半分はお父さんもらってますよね。
そうするとお腹の中のお子さんを免疫的に拒絶する可能性があり得るっていうことですね。
そんなことがおこってしまうと困ってしまいますので、お母さんの免疫を下げることによってお子さんをお腹の中で育てるためのホルモンの働きがあるのです。
つまり、お母さんご自身の免疫機能が低下しているっていうことです。
そしてお母さんご自身が食品由来の感染症にかかりやすいっていうことを前提条件に考えておかないといけないわけです。
子どもに永続的な問題を起こしうる、リステリアとトキソプラズマ
そして様々な感染症の中でも、お子さんに永続的に、元に戻りにくい合併症を起こすような感染症をがあります。
それがリステリアとトキソプラズマです。
トキソプラズマっていう感染症に関しては、もうご存知かもしれませんね。
先日、ネットフリックスで西島さんが主人公されている料理ドラマがあって、そこでトキソプラズマの回がありました。
生肉の話で、トキソプラズマが入っているかもしれないみたいな感じの。ドラマとかでも出てくるんだなあって思いました。
それはともかく…
そういった生肉などに関してはトキソプラズマに注意しないとなので加熱しないといけないということですね。
リステリアはリスクの高い感染症
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今回はそのトキソプラズマはとりあえず置いておいてリステリアの話を中心にしましょう。
リステリアってトキソプラズマに比べて、ちょっとマイナーな感じで、ご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
やはり先ほど申し上げた、『妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)』にリステリアに関するパンフレットがあります。
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簡単にリステリア感染症に関してもお話をさせていただきたいと思います。
リステリアって、日本よりも海外のほうが多いんですけど、諸外国の感染報告をまとめると、人口10万人当たり0.29人から1.3人という報告があります。
リステリアは食中毒の感染症として、米国では10%がリステリアで亡くなっているそうなので日本ではそこまで多くはないんですけど留意するべき感染症になります。
そして、リステリアに感染をきたした場合は、先進国でも死亡率も高くて、11から26%っていう報告があります。しかも新生児で罹った場合は髄膜炎と言って、脳を浸している髄液に感染をきたしてしまう場合があって、非常に重篤になる可能性が高いんですね。
頻度は決して高くはないけれども、感染が成立した場合は非常に重篤になる可能性がある感染症がリステリアということです。
リステリアは、加熱には弱いが塩分や低温に強い
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リステリアは消毒液であるとか加熱に対しては非常に弱いことが分っています。ですので調理してしまえば、心配事を減らすことができます。
しかしリステリアは、例えば塩分であるとか低温であるとか、そういった状況であっても増えてくることができる菌なんです。
ですので、非加熱喫食調理済み食品、英語でready to eat食品、略してRTE食品というんですけど、そういった食品が感染源になりやすいことが分っています。
今、日本よりも海外のほうが多いですよって話をしたんですけど、ナチュラルチーズという加熱をしていない チーズであるとか、魚のパテであるとか、スモークサーモンであるとか、生ハムであるとか、そういった食品、すなわち非加熱喫食調理済み食品を日本よりもよく食べる食文化の地域があり、リステリアに感染しやすいからです。
今、チーズの話が出たんですけど、チーズ普段食べてたら大丈夫かなって思われる方がいらっしゃるかもしれません。
チーズに関して、大きく分けてナチュラルチーズとプロセスプロセスチーズの二種類があります。
ナチュラルチーズっていうのは、生乳を酵素とかで固めて、水っぽい部分(ホエイ、乳清とかって言う部分)と分離し、その乳清を一部取り除くとナチュラルチーズになります。
で、そのナチュラルチーズに乳化剤を入れて加熱し、殺菌をして砕いて固め直したものをプロセスチーズって言います。
ですので、プロセスチーズであればリステリアに関しては感染する可能性が極めて低くなります。
ですので、妊婦さんがもし食べられるのであればプロセスチーズの方が心配事がより少ないと言うことになりますね。
ナチュラルチーズに関して、RTE食品、非加熱喫食調理済み食品に関して気を付けないといけなくて、それは、ナチュラルチーズだけではなくて、例えば生ハムであるとか、魚の生のパテであるとか、スモークサーモンであるとか、まあそういったものが心配しないといけない食品の代表格と言うことになります。
なお、日本で作られているナチュラルチーズはそれほどリスク高くないと今まで考えられていたんですが、殺菌乳を使っているからのようです。
しかし、最近日本でもリステリアの集団感染の事例が報告されていますので、やはりナチュラルチーズは妊婦さんは避けておいた方が良いと言うことになるでしょう。
あくまで、非加熱喫食調理済み食品に対しリスクがあるので、ご自宅で保存状況に問題があるような状況だとリステリア感染リスクに関係しますので食品の保存などに関して気をつけておく必要性があるということにもなります。
リステリア感染症は、基本的に免疫が弱いひとへの感染が多い
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リステリア感染症に関しては、基本的には免疫の弱い方に対する感染が成立する場合がほとんどです。
すなわち、多くの場合はお年寄りであるとか、妊婦さんであるとか、もしくは新生児であるとか、そういった方々に対して感染が成立します。
ここまで考えると、だいたいわかってくるかと思います。
妊婦さんは、生の魚自体を食べてはいけないとまでは言えなくて、でも含まれる水銀と、そもそも免疫が低下しているので感染に注意しないといけませんねということになります。
そして、お母さんから子どもへの感染に気をつける菌としてリステリアがあって、例えばナチュラルチーズ、、生ハム、魚パテ、スモークサーモンといった非加熱喫食調理済み食品には特に気を付けていただいた方がいいんじゃないかなということです。
それでは今日はこれで終了させていただきます。多くの方々に聞いていただいてありがとうございます。
失礼いたします。
※2022/12/6 追記。
この記事に対して、『加熱寿司』の情報提供をいただきました。
・厚生労働省の「魚について知っておいてほしいこと」に掲載のある水銀量を上回るネタは含んでいない
・厚生労働省が提唱している「中心部分の温度が75°C以上」という基準を満たす という点を満たしているそうです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000109541.html
この情報を提供いただいたとき、 『それぞれの体調などもありますし、「妊婦さんが100%安全に食べられる」と発信するのは適切ではないと考えています。』 と書かれていたことに、誠実さを感じました。
ひとつの選択肢として示させていただきます。
※『加熱寿司』に対するCOIはありません。
※ この記事は全文無料といたします。
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