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ピーナッツアレルギー児にデュピルマブを使用すると、アレルギーは改善するか?|2024年12月15日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

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ピーナッツアレルギー治療は、現在も課題が多く、デュピルマブの効果に期待されています。

■ ピーナッツアレルギーは、特に先進国で多く見られ、最大で全体の3%が影響を受けています。
■ 子どもの時に始まり、大人になっても続くことが多く、問題となっています。

■ 現在のところ、ピーナッツアレルギーを根本的に治す治療法はなく、除去食が基本となります。
■ しかし、加工食品中のピーナッツの有無の確認や、コンタミネーション(意図せず混入すること)にも注意する必要があります。

■ しかし、他の食物アレルギーも言えることですが、常に食事に気を使わなければならず、精神的な負担も大きいです。
■ そこで、少しずつピーナッツを食べて体を慣らしていく、すなわち経口免疫療法療法も開発されていますが、副作用の問題があります。

■ そのようななか、オマリズマブ(抗IgE抗体)が、食物アレルギー児の安全性をあげるという報告がありました(現状、日本における保険適用はありません)。

■ 一方、最近、生後6ヶ月から使用できるようになったデュピルマブは、アレルギー反応に関係するサイトカイン(IL-4とIL-13)の働きを抑える効果があることが分かっています。

■ では、デュピルマブは、ピーナッツアレルギーの小児に対し、リスクを軽減させ、改善を補佐するのでしょうか?



この論文でわかったことをざっくりまとめると?

6-17歳のピーナッツアレルギー患者24名に対し、体重に応じてデュピルマブ300mg(≧60kg)または200mg(≧20-<60kg)を2週間ごとに24週間皮下投与した。

✅️デュピルマブ治療により、総IgE値とピーナッツ特異的IgE抗体価はそれぞれ中央値で54%と49%減少したが、ピーナッツ特異的IgG4は変化しなかった。
【簡単な解説】 アレルギーの原因となる抗体(IgEとピーナッツに特異的なIgE)は半分程度減りましたが、アレルギーから体を守る抗体(IgG4)は変化がなかった。
✅️24週間の治療後、24人中2人(8.3%)のみが444mg以上のピーナッツ蛋白に対する耐性を獲得した。
【簡単な解説】 治療を受けた24人のうち、ピーナッツ2粒分くらいを安全に食べられるようになったのは2人だけで、あまり効果が見られなかった。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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