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耕作放棄地をピーカンナッツで再生 2024年8月
私たち、薩摩ピーカンファームは鹿児島県霧島市の耕作放棄地を活用し、クルミ科のピーカンナッツという植物を育てています。 荒れ果てた耕作放棄地を再生するのは、なかなかにハードなことが多いですが、その農地再生の記録をnoteで公開していきます。
2024年8月|台風対策と農地交渉の進展
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8月は台風への備えと対策が中心となりながらも、圃場(ほじょう)管理や農地拡大に向けた交渉が着実に進みました。農地の除草や灌水作業に加え、新たな農業管理システム導入の検討など、持続可能な農業経営に向けた動きが加速しています。台風による直接的な被害は少なかったものの、強風による防風ネットの倒壊や農地周囲の環境整備の課題が浮き彫りとなり、今後の対策強化が求められます。
8月1日〜7日|猛暑の中での草刈りと灌水作業、農地交渉の着実な進展
8月初旬は連日の猛暑の中で圃場の草刈り作業が中心となりました。苗木が順調に成長している一方で、雑草の繁殖も勢いを増しており、圃場の畦畔や株間の草刈りを徹底。刈り取った草を株元に敷くことで乾燥防止と雑草の抑制を図りました。特に、株間が狭く機械が入りづらい圃場では手作業で対応しながら、効率的な除草方法を模索しています。
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圃場によっては水はけが悪く、湿田状態が続いている場所も見受けられました。これに対してはミニユンボを使用して明渠を掘り、隣接する水田からの漏水を迅速に排水できるように計画しました。また、灌水の頻度を増やし、苗木が乾燥しないよう慎重に管理しています。
明渠(めいきょ)とは、地上に出ている部分を開け放した水路で、主に排水を目的としています。農業や土地管理において、降雨や灌漑(かんがい)によって生じた過剰な水分を効率的に排出し、土壌の過湿状態を防ぐ役割を果たします。
農地交渉においては、地元の農地所有者との賃貸借契約を進める中で、契約期間を5年から3年に短縮し、柔軟な対応を図りました。これにより、農地所有者側もリスクを抑えつつ契約に前向きになるなど、耕作放棄地の再利用への道筋が見えてきました。
8月8日〜14日|台風への備えと防風対策の強化
台風接近に伴い、農場や設備の点検・補強作業が急ピッチで進められました。苗木への添え木(支柱)設置や、農機具の整理・固定が行われ、飛散防止策を徹底。台風通過後には、獣害防止ネットが一部倒壊していたものの、苗木自体に目立った被害はありませんでした。
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今回の台風では、農場の立地や防風林の効果が顕著に表れ、圃場が強風の直撃を避けられたことが幸いでした。ただし、防風ネットの強度が不足していたことから、園芸用支柱を使用していた部分が倒壊。支柱の直径を見直し、今後は木杭や鉄杭など強度の高い資材に切り替える方針が固まりました。
灌水作業については、晴天が続いた圃場では事前に行われていたものの、湿田圃場では排水性を高める必要性が改めて浮き彫りになりました。排水対策としては、高畝を設ける方法が検討され、秋から冬にかけての作業計画に盛り込まれる予定です。
8月15日〜21日|農地交渉の進展と圃場整備の強化
台風が過ぎ去った後は、圃場の巡回や草刈り作業が再開されました。台風直後は、土砂や落ち葉が用水路を塞ぎ、水の流れを妨げていたため、上流から取水口までの清掃作業が行われました。特に用水路内には直径15cmほどの石が多く流れ込んでおり、台風による土砂流入の影響が明らかでした。
農地交渉に関しては、複数の農地所有者と交渉が進み、新たに9,000㎡規模の農地との賃貸契約が締結されました。契約後は曽於市役所財部支所の農業委員会と打ち合わせを行い、農地法3条の申請手続きを進めています。これにより、ピーカンナッツ栽培の拡大と耕作放棄地の有効活用がさらに加速する見込みです。
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8月22日〜28日|台風直撃と復旧作業、防風ネット補修の必要性
8月下旬には、再び台風が接近し、大型の強風が圃場を襲いました。幸い苗木自体の被害は軽微でしたが、獣害防止ネットが一部倒壊し、支柱が根元から折れる被害が発生。農地周囲の防風林やネットの設置場所の見直しが急務となりました。
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今回の台風では、自宅敷地内に設置されたミニビニールハウスが被害を受けなかったことから、住宅に囲まれた環境が防風対策に有効であることが確認されました。将来的に苗木育成のためのハウス建設を計画しており、このデータが今後の設計に活かされることとなります。
農地交渉では、曽於市役所の農業委員会が耕作放棄地の解消に積極的であることが確認され、複数の農地所有者からも問い合わせが寄せられました。
8月29日〜31日|台風後の総点検と新たな農業管理システム導入の検討
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台風通過後は、圃場の巡回と用水路の詰まり解消作業が実施されました。特に、上流から流れ込んだ落ち葉や小枝が水路を塞いでいたため、再発防止に向けた定期的な巡回と清掃作業の必要性が強調されました。
さらに、農業管理システムの導入を検討しました。GPSと連動し、圃場ごとに樹木の生育記録や収穫データ、作業履歴を管理できるこのシステムは、農作業の効率化とデータ管理の簡素化に寄与します。まずは100圃場プランから導入し、データ蓄積による農場運営の最適化を目指します。
圃場管理だけでなく、気象条件や獣害対策を一元的に記録できる点が評価されており、今後の農場運営の大きな助けとなる見込みです。