変容する個展
ハロウィンの熱気ムンムンの原宿で、4年ぶりの私の個展が開催され、昨日終わりました。
忘れないうちに、所感など文にしておこうと思います。
最初に、個展へご来場頂いた皆さま、応援のメッセージを下さった方、影から支えてくれた家族、関わってくれた全ての人達にお礼を申し上げます。
正直に言えば、今回の個展は走り抜けられるか五分五分のところでした。
隣駅に出かけるだけで具合が悪くなり、ひどい時は外に出ただけでパニックになる日もある。(すべて頭の大怪我に起因しています)
果たしてこんな状態で、電車で1時間半も離れた原宿に向かい、自身で設営し、接客し、片付けて戻ってくることができるのか…? しかも一週間…まあまあ長丁場を。
不安の中、走り出した2018年以来のデザフェスギャラリーでの個展。
しかし私はどうしても挑戦したかったのです。復活の証として。
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展示の中で私が感じたことを以下パラパラと書き連ねてみようと思います。
・10代20代の若い子たちや、日本人のお客さんはイラストのが好みらしい。
・海外のお客さんほど絵画的表現を好んでいた。
ここ数年、私は主に油彩での作品制作に取り組み、イラストの新作はわずかでした。活動フィールドが画廊や美術館へシフトしていったからです。
(前回の2018年個展は、イラストが半分くらいを占めていたと思います。)
特に日本人の方は旧作イラストに興味を惹かれる人が多かったように思われました。
逆に、海外からの観光客の方は、油彩風景画を気に入って下さり、ポストカードなどもまとめて買われている傾向が見てとれました。
これは文化の違いなのかもしれません。
もちろんそれが全てではないと分かります。
ただ何となく、「昔の元気だった頃の絵の方がいい」と暗に言われてしまった気がして、ここ数年の努力が灰塵に帰すような……それはちょっと言い過ぎかもしれませんが。
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でも、それを覆すほどの嬉しいことが。
最新作の油彩画たち、特に巨大油彩画を見てくれたお客さんから「涙がでてくる」というご感想をたくさん頂いたことです。
実際に目の前で涙を拭われていた人もいらっしゃり、驚きました。
それを見たとき、「ああ、私のやってきたことは間違ってなかったんだな」と思えたのでした。
--巨大油彩画は、この数年を象徴する作品。--
世界が、自分が、何もかもが変わってしまった。
親しい人さえも失った。
かつて「あれがやりたい、これがやりたい」と抱いていた夢が、不可抗力によって打ち消されていく…。
だから、新しい夢を抱いた。
夢のカタチがこうして変容していく…。
そんな思いで描いた作品が、人の心を打ったという事実が、私自身を救ってくれました。
悲しさを表現するのではなく、受け止めて、包み込んで、共に生きていく絵。
感動してくれた皆さんが絵の精神に触れたとき、また、私も皆さんに精神を触れられたのです。
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やはり私は、今のまま、このまま、突き進もうと思います。
油彩を描きたいときは筆をとり、イラストを描きたいときは鉛筆をとる。
外の声に引っ張られず、好きにすればいいのです。
思い出のデザフェスギャラリーですが、再びここで個展をする日はもう来ないかもしれません。何となく呼ばれてない気がするのです。この数年で、私は「変容」したのでしょう。
ある意味岐路となった今回の個展は大事なものとなりました。走り切ることができた…大きな回復の一歩として。
冗長な駄文を失礼しました。
お読み下さった方、ありがとうございました。
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