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『「福」に憑かれた男』

2024年11月11日(月)雨のち晴れ 20.1℃(MCJ094)

夕べはアンの仲間たちとオンライン読書会だった。コロナ禍の2020年4月に始めたオンライン読書会も早4年をすぎ、主立ったモンゴメリの小説は読んでしまったので、最近はこんな順番を繰り返して進めている。

① モンゴメリの小説
② モンゴメリ自身が読んだとされる小説やモンゴメリや赤毛のアンに関する書物
③ 読書会メンバーの推薦本

昨日の読書会は③の回で、メンバーのMちゃんが薦めてくれた喜多川泰の『「福」に憑かれた男」がテーマだった。

読後感

自己啓発本の類になるのだろうか。普段あまり読まないタイプの本だったが、読みやすく楽しめた。

ある本屋の悩める店主には福の神が憑いていて、色々と店主に必要と思われる出来事を起こしたりするのだが、それは店主にとって良いこととは思えないことも多く、後から考えてみればこれがあったから今があると思えることばかり。

福の神が言うことがいちいち自分に言われているような気がして瞬く間に付箋でいっぱいになった。その箇所をよくよく読んでみると、なんだか既視感。そう、モンゴメリも小説の中で似たようなことを登場人物に言わせているのだ。たとえば、

状況とは自らが工夫して作っていくものであり、幸せとか成功というのは、それを手にしたときに訪れるのではなく、その工夫を楽しんでいるときに「感じる」ことのできるものだ。

これはアンが言うところの「何かを楽しみにして待つということが、その嬉しいことの半分にあたるのよ。」の意味するところと同じだと思うし、

その人が存在することによって世の中の多くの人が幸せになる。

これはアンが語る理想の自分「あたしは人生の美しさを増したいと思うの。あたしは、自分がこの世に生きているために、ほかの人たちが、いっそうたのしく、暮らせるというようにしたいの……どんなに小さな喜びでも幸福な思いでも、もしあたしが、なかったら味わえなかったろうというものを世の中へ贈りたいの」に通じるものがある。

そんな具合なので、モンゴメリの熱烈なファンである読書会メンバーたちは「100年前と同じことを言っている本が売れる時代なのね。つまり私たち人間は時代が変わっても悩む内容はあまり変わっていないということね。」と結論づけたのであった。そして、同じことを言っていてもモンゴメリの小説から受ける方が私たちには響くねと。比較するつもりは全くなかったが、ジャンルの違う本を読んだからこそ見つけられた発見だった。

個人的には自分があまり読まないジャンルの本を読む機会を与えられるのもなかなか良いものだと思うが他の人たちはどう思っただろうか。