なしこ

文章を書くリハビリがしたいと思いました。ぽつぽつと綴っていきます。

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マガジン

  • ちいさなものがたり

    亡き人を偲んで語られる、ちいさなちいさなものがたり。遺された人たちの目を通して、在りし日の姿を探ります。 *このものがたりはフィクションです。

最近の記事

くらしのこと#6 冷蔵庫

冷蔵庫を買いました。 家主と二人暮らしをはじめて早4年。 これまで、家主がもともと使っていた一人暮らし用の冷蔵庫で生活してきました。 外食は月に数回。基本的には自炊をするので、買い出しにはかなり頭を使っていました。 冷蔵庫の空きがこれくらいだから、これとこれは買える。これまで買っちゃうと冷蔵庫にしまえなくなるな…。よし、これでなんとか5日分。 とまあ、こんな感じで。 鍋はもちろん入らないし、保存容器も場所をとるので、特に夏場の調理には悩みました。 うっかりカレーなんて作

    • 2023年上半期を振り返る

      早いもので、2023年も半分が過ぎようとしています。 …という入りの文章がいまごろ溢れ返っていることでしょう。わたしもそのひとつを世に放つこととなりました。 なにをしていたかなあ、と思い返してみるわけですが、恐ろしいほどなにもしていない。 太らなかったのが奇跡なんじゃないかと思うくらい、ほんとうに動かない日々を送りました。今月に至っては一度もガソリンスタンドへ行かずに済んでしまったほど。 出かけもせず、じっと座って、しずかに呼吸をしていたら、あっというまに半年です。

      • くらしのこと#5 暇

        ひまだなあ、と思う日があります。 きょうは久しぶりにそんな日です。 学生の頃から休むことがへたくそで、気がつけばいつも予定でいっぱいでした。 そんな調子で社会人になって、つねに誰かと一緒にいる生活が続いて、知らぬ間にいろいろとため込んでいたのかもしれません。精神的にも、物理的にも。 結果的に長いお休みをいただくことになってからというもの、日々の過ごし方に悩むことがしばしばあります。 予定のある日は気が楽です。 決められた予定をこなしていれば、1日がきちんと過ぎていきます。

        • くらしのこと#4 服を買う

          着る物がなくなってきました。 服は間違いなくたくさんあるんです。それこそ保管場所に困るくらい。 なのに毎日「きょう何着よう…」のループから抜け出せない。とても困っています。 春先で気温が定まらず、服選びに困るというのもあります。ちょっと肌寒いけれど、暗い色のものとか、重たい素材のものとか、冬を感じさせるものを着るには春が進みすぎたなあ…なんて、うんうん唸ったり。部屋がひんやりしているから厚着をして外へ出たら、思いのほか暑かったり。きょうも失敗したなあ、と思う日々です。

        くらしのこと#6 冷蔵庫

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        • ちいさなものがたり
          3本

        記事

          くらしのこと#3 雨天

          雨ですね。 ここのところテレビの音が耳障りで、暗いままの液晶を横目に過ごすことが多いので、雨音もよく聞こえてきます。 さっきまで勢いよく降っていたような気がしたのですが、雨脚が弱まってきたのでしょうか、上階から落ちる水滴の音が目立ち始めました。遠くで鳥のさえずる気配もするので、きっとそういうことでしょう。 雨が降ると何をするにも億劫になります。 予定がないからお散歩にでも行こうかな、と思っても、わざわざ傘をさしてまで出歩く気にならない。歩くたびに水しぶきがあがったり、泥が

          くらしのこと#3 雨天

          くらしのこと#2 アコギ

          高校生になる頃にはサンタさんと会話ができるようになっていましたので、その年のクリスマスプレゼントにアコースティックギターをお願いしました。 なんならサンタさんと一緒に出歩く術も身につけていましたので、近場のショッピングモールに入っている楽器やさんへ連れ立って出かけたことを覚えています。 てきとうな1本を手にとって、それがわが家へやってくることになりました。価値を実感するためにも、お値段をちゃんと見ておくべきだったなあ、と今になって反省しています。 よくある、バンドのギタリス

          くらしのこと#2 アコギ

          くらしのこと#1 ガジュマル

          ガジュマルと一緒に暮らしています。 2020年の春にわが家へやってきましたので、ちょうど3度目の冬越しを終えようとしているところです。 うちに来たばかりの頃はWi-Fiのルーターと背くらべをしていたものですが、ぐんぐん葉を伸ばして、いまではひざ上ほどの高さまで大きくなりました。やわらかい茎だったはずのところは、徐々に枝らしくなってきました。 例年、あたたかくなると、枝の先からあたらしい葉が芽生えはじめます。(葉が芽生える、という表現が正しいのかどうか、ちょっと自信がない

          くらしのこと#1 ガジュマル

          case1 山田家:妻の場合 #ちいさなものがたり

          親の決めた結婚でした。 お見合いで一度だけ顔を合わせて、それからひと月も経たないうちに夫婦になりました。 主人のことを何も知らないままスタートした結婚生活でした。 若い頃の主人はいつも仏頂面でね、私の作る料理にも「うまい」とも「まずい」とも言わない。味はどうかと尋ねようにも、声を掛けさせまいとするオーラが漂っていて、会話ができない。好みを探るのが大変でしたよ。 でもこだわりの強い人でしたから、よくよく観察してみると、すべて表情に出ていることがわかったんです。仏頂面ですからね

          case1 山田家:妻の場合 #ちいさなものがたり

          case1 山田家:娘の場合 #ちいさなものがたり

          お父さんかあー。口うるさい人だったなあ。 勉強はしてるのか、昨日はどこに行ってたんだ、なんだその髪色は、そんな派手な格好をするんじゃない… いろいろ言われました。顔を合わせるとね、何かひとつ文句を言ってやらないと気が済まないって感じで。ちょっとでも口ごたえをしようもんなら「ばかもん!!」って怒鳴るわけですよ。あ、お兄ちゃんもその話したの?お父さんの口癖だったもんね。「ばかもん!!」って。 まあ小言は多かったですけど、優しかったんだと思います。 家にいることは少なかったけど、

          case1 山田家:娘の場合 #ちいさなものがたり

          case1 山田家:息子の場合 #ちいさなものがたり

          頑固な親父でした。 ちょっとでも気に食わないことがあると、すぐに「バカモン!!」と大声をあげていたもんです。 短気というか…気難しいというのとは少し違うと思うのですが、なんて言ったらいいのかな。何をするにしても、親父なりにこだわりがあるんですよね。どれもこれも些細なことで、わざわざ言葉にするほどのことでもないので、周りに要望として伝えたりはしないんですよ。でも「これは俺の思うやり方じゃない」といって臍を曲げてばかりいました。めんどくさかったですね笑。 僕が物心ついた頃には、

          case1 山田家:息子の場合 #ちいさなものがたり

          一日坊主の憂鬱

          無から有を生み出すことは本当に難しい。 文章を書くことは昔から好きだった。 しかし、そこには「お題」と「締切」、そして「他者からの承認」が必要だった。 たとえば「日記」。 小学生の頃、毎日日記を書きましょうという宿題が出されていた。 その日の出来事や、そこから考えたことをつらつらと書けばよい。あの頃は至るところに「お題」がごろごろ転がっていた。書くネタに困ることはなかった。 「締切」は言わずもがな、毎朝の登校時である。 提出すると、担任の先生がひとこと感想を添えて返却して

          一日坊主の憂鬱

          一粒万倍日

          「でも、それって迷信でしょ?」と彼は言う。 その通りだとは思う。軽く調べたところ、暦から算出して割り当てられた日らしい。仮に統計学か何かで根拠が示されているのだとしたら、それこそすごいことだと思う。そのあたりのことに明るい人がいれば詳しく教えてほしい。 彼は神様仏様を信じるタイプではない。 たまたま災難が続いた折には深刻な顔をして厄除け神社を訪ねたが、過ぎてしまえば信心などどこへやら、である。 対して、私は信仰にはうるさいほうだ。 決まった宗教に傾倒しているわけではないが、

          一粒万倍日