#俺たちの菅波
【はじめに】
まはるの頁にご来訪いただきありがとうございます。
今日は2021年の10月に執筆した作品をお読みいただきます。
皆さん、NHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)はお好きですか?
今回の作品は、執筆当時放送されていた朝ドラ「おかえりモネ」がテーマです。
視聴率や物語の出来不出来など、様々な意見が飛び交いましたが、熱狂的ファンを生み出したドラマです。私は、嬉々としてエッセイのテーマに書くほど大好きでした。
ヒロインの相手役が抜群に良く、ツイッターでも連日、熱いつぶやきが誕生していました。
そんな当時の状況を描いた作品です。
現在の朝ドラ「虎に翼」も面白いですね。やはり、いつかエッセイに書いてみたいと思っています。
(1)海と山に囲まれて
現在、NHK連続テレビ小説(通称、朝ドラ)「おかえりモネ」にハマっている。
物語は、ヒロインの永浦百音 (通称、モネ)が気象予報士を目指し、その夢を叶え、地元の為に貢献したいと奮闘しながら成長するその姿に焦点を当てている。
現在、間もなく最終回を迎える物語は、幾つも張られた「伏線」を回収する為に、驀進している。
モネの出身は、宮城県の亀島。
海に囲まれて育った。
しかし、モネは「津波」がもたらした東日本大震災の時の心の傷に打ちのめされて、島を離れてしまう。そうして辿り着いたのが、登米。登米は山の地。
海から山へと舞台を移し、そこで出会った人たちに温かく迎えられ、徐々に心の奥底にある鉛のような重たい荷物を下ろしていく。
(2)菅波は「沼」
さて、ここからが本題だ。
モネはこの登米の地である人物と出会う。
菅波光太朗。
登米で地域診療に携わる若い医師だ。
この菅波が、今、ドラマの視聴者の心をかっさらっている。
菅波に魅了された人々は「沼に落ちた」と自らのことを表現する。
ここでいう沼とは、本来のそれではなくて、ネット用語である。
ちなみに、意味を記すと、「ゲームやアニメなど何かにどっぷりとハマってしまうこと」となる。
結果、山や海だけでなく、沼まで登場してしまう、自然がてんこ盛りの展開になってしまった。
(3)菅波沼の民の生態
菅波沼の住人は、実に健気だ。
菅波は、やがてモネの恋人になるのだが、二人の関係の進展が何ともじれったい。
元々恋愛に奥手なのか、それとも、純真無垢を絵に描いたようなモネが相手だからなのか、菅波は、なかなかモネに触れることが出来ないのだ。
モネの辛い過去の話を聴いた時、菅波は確かにその背中に手を当てようとした。
だが、見えない何かに引き戻されるように、手を引っ込めてしまった。
ここで、菅波沼の住人は、叫びをあげる。
「菅波、頑張れ!」と。
他にも、菅波の一挙手一投足を見守る菅波沼にハマった多くの視聴者が、来る日も来る日も菅波の幸せを願い、今も、その出番を待ち望んでいる。
私なぞ、オープニングテロップに、菅波光太朗の名前を見つけると、胸の前で両手を組み、目がキラキラしてしまうありさまだ。
(4)#俺たちの菅波
そんな、菅波沼の住人は、ツイッターという場でイキイキと輝いている。
「#俺たちの菅波」というタグを付け、その日のドラマの感想や、溢れんばかりの菅波愛を毎日のようにつぶやいている。
ここで少し、「#俺たちの菅波」とはどう意味なのかを説明しておく。
それは、菅波のことを視聴者である自分たちにとって、非常に近しい、また、愛着のある人物として捉え、心から声援を送り、時には思いが強すぎる余りに、茶化してしまうーと言ったような現象が起きている為に、このような、コミカルなタグとなっているのだ。
とにかく、日々、「#俺たちの菅波」でつぶやくことが、どうにも楽しい。
各々、ツイッターの文字数制限を睨みつつ、自由闊達に思いを綴る。
「緊張して、おかしな言葉遣いになっちゃうの、マジ菅波!」
「ポケットの裏地が出ても、気にする余裕が無い菅波、ホント好き!」
互いの投稿を読みふけり、顔をほころばせるのが、菅波沼の住人の最上級の遊びだ。
来週が最終週となる、「おかえりモネ」。
菅波とモネは、既に結婚を約束する仲となっている。
ここまでが、なんとも歯がゆかったが、この時点で、菅波沼の住人の興味関心はただ一つ。
【果たして、二人は無事に結婚まで辿り着けるのか?】
願わくば、モネには、晴れて“菅波百音”となってもらいたい。
そして、これからも気象予報士として大いに活躍して欲しい。
勿論、菅波が、“永浦光太朗”となり、登米で心の通った医師としての道を歩んでもらうのでもいい。
菅波沼の住人は、菅波の幸せの向こうに、自分の幸せを見出している。
二人が新たなる未来に向けて、満面の笑顔で手を取り合った時、ツイッター上には、感激の雨や霰が降るだろう。
勿論、今年一番の喜びとして、その日を永遠に記憶に残すこと間違いなしだ。
時に、こんなつぶやきもある。
「今年の流行語大賞は、#俺たちの菅波で!」
私は、このつぶやきを天才級だと、真剣に思っている。
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