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Contents(下肢の骨)

理学・作業療法士や柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師を目指す学生さんを始めとして、医師・歯科医師を目指す学生さん、そしてすでに現場で働かれている医療従事者の方々にとって、骨学は筋学を始めとする解剖学を学ぶ上で基盤となる必須の知識となります。スライドで赤で示した箇所は理学・作業療法師、看護師、柔道整復師、鍼灸師、はり師きゅう師、あん摩マッサージ師の過去全ての国試を分析しさらに解剖学の定期試験で問われやすいポイントを示しています。さらにオフラインでも学習できるようにダウンロード用PDFファイルも用意しました。PDFファイルは下肢の骨の説明スライド12枚、下肢の骨に関する国家試験問題と解説(作業・理学療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師の過去問から合計22問)、下肢の骨に関する問題集と解説文を搭載しています。下肢の骨をマスターしたいあなたへ圧倒的な構成内容でお届けします!


Overview

スライド1

下肢の骨についてみていきます。下肢の骨も上肢の骨と同様、下肢帯と自由下肢骨から構成されています。下肢帯は自由下肢骨を体幹に連絡する骨で、腸骨、坐骨、恥骨の3つの骨で作られます。これら3つの骨は軟骨結合によって結合していますが、思春期頃(16~17歳)に癒合し骨化して1つの大きな骨「寛骨」になります。自由下肢骨は太ももの所に存在する大腿骨、下腿(膝より下)には内側に脛骨と外側に腓骨、足首より下に存在する足根骨中足骨指骨から構成されます。配置や数は上肢の骨に似ていますが、足根骨の数が違います(手根骨は8個でしたね)。まずは下肢帯と自由下肢骨を作る骨の名称をしっかりと覚えていきましょう。

下肢帯(腸骨)

スライド2

下肢帯の腸骨から詳しくみていきます。腸骨は扇状に広がる平べったい腸骨翼と恥骨や坐骨とつながる根元の腸骨体から出来ています。腸骨では特に外側面と内側面に存在する構造、4つの腸骨棘、切痕についてみていきます。外側面の殿筋面は大腿骨の運動に関わる大・中・小殿筋が起始する部位となります。次に内側面の構造についてです。特に覚えるべき構造としては、腸骨窩、弓状線、耳状面の3つになります。腸骨窩は名前の通りくぼんでおり、ここから腸骨筋が起始します。腸骨筋の内側には大腰筋が走行しており、2つの筋をまとめて腸腰筋と呼びます。腸腰筋は大腿骨に停止し、股関節の屈曲に関係する筋になります。弓状線とは腸骨内側面の隆起部を指し、分界線を構成する部位の1つとなります。分界線とは岬角(仙骨)、弓状線(腸骨)、恥骨櫛「ちこつしつ」(恥骨)、恥骨結合上縁を結ぶ線を指し、分界線よりも上を大骨盤、下を小骨盤と骨盤内の空間を分ける境界になります。分界線は骨盤を分類する際にも産科学的にも重要ですので、また後のスライドでみていきます。耳状面(じじょうめん)とは仙骨と関節を作る面で、仙骨にも耳状面という同じ面があり、腸骨と仙骨の耳状面同士で仙腸関節を作ります。仙骨のところでも触れましたよね。続いては縁に存在する特徴的な構造をみていきます。まず腸骨棘というでっぱりですが、上前、下前、上後、下後腸骨棘の4つが存在します。これらのうち上前腸骨棘は骨盤の外側に存在する大きな突起で、触ると簡単にでっぱりが確認できます。体表解剖学的にも重要ですので上前腸骨棘の位置はしっかり押さえておきましょう。腸骨の上縁はゆるいカーブを描いており、ここを腸骨稜と言います。左右の腸骨稜を結ぶ線ヤコビー線といい、脊柱との交点は第4腰椎になります。脊髄の本体は第1、2腰椎で終わりそれ以下は線維のみになるので、腰椎穿刺や腰椎麻酔の際の目安になります。腸骨の最後は大坐骨切痕についてみていきます。大坐骨切痕とは下後腸骨棘と坐骨の坐骨棘との間にある大きな切れ込みです。この切痕の詳細は後で詳しくみていきます。

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