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芦谷汰貴という選手
修道高校野球班
→九州大学(旧帝大)
→火の国サラマンダーズ(独立リーグ)
→川口ゴールデンドリームス(クラブチーム)
という異色の経歴を突き進む選手。
野球が好きで、上手くなることに貪欲で、自分に厳しくて、そんな姿が尊敬出来るし応援したくなる不思議な魅力を持ってる人だなと思い、遠くから見続けてきた。
芦谷くんを初めて知ったのはいつだったろうか。
高2か高3の頃「東大を目指してます」と連絡をくれたのがキッカケだったと思う。
(間違えてたらごめん)
東大野球部のファンだから教えてくれたんだと思って、修道の野球班からまた選手が来たら最高だなあ!なんて想像をしていた。
最終的に九州大学に進学をしたが、そこで通算3勝を挙げるなど大車輪の活躍をしていた。凄い。
九州大に進学後、東京にいたためなかなか見にいくことができず、九大野球部のTwitterでツイートしている速報ばかり見ていた。
また直接ではないが、七大戦に行った人のSNSなどで芦谷くんのピッチングを見る機会があり、純粋に綺麗なフォームだなと思った。
抑えた時のガッツポーズや雄叫び、その投げっぷりは見ていて気持ちがいいものだった。
直接見たことはないが気になる存在だった芦谷くんは、大学4年にプロ志望届を提出した。
元々東大に入りたかったのも、六大学はスカウトが多いからという理由だったのかもしれないとその話を聞いて、勝手に想像していた。
それを機に様々なメディアで芦谷くんの特集が組まれた。東京では見れないものもあったが、見れるものは全部見た。
いい選手だと思っていたし、プロに行ってほしいと思っていた。
しかし、ドラフトで呼ばれることはなかった。
スカウト達どこ見てんねん!と思っていたが、そこで諦めないのが芦谷くんの凄いところだった。
火の国サラマンダーズのトライアウトを受け、40人近い投手の中から唯一の合格を勝ち取った。
火の国サラマンダーズが所属する九州アジアリーグは九州以外で試合することはほぼなく、ここでも一球速報を追うか九州に行くしかなかった。
しばらくして一球速報を見ると、
火の国サラマンダーズvsソフトバンク三軍
の試合があったことを知った。
ホークスの三軍には応援している三浦瑞樹選手という育成選手がいることもあり、もしかしたら芦谷くんと三浦くんの直接対決があるんじゃないか?と思いそんなツイートをした。
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すると、そのツイートを見た芦谷くんからもう投げ合いをしていたこと、YouTubeで配信していてアーカイブも残っていることを教えてもらった。
不覚。情弱。配信してたんかい。
すぐにその試合のアーカイブを見た。
なんでドラフトかからなかったんだ?と改めて思うほど完璧なピッチングだった。
それからは芦谷くんが投げた試合のアーカイブを全て見返し、見れる試合はリアルタイムでも視聴した。
サラマンダーズの優勝がかかった試合、YouTubeでは映像が止まり、インスタライブでは定期的に固まるなど上手く見れないまま気付いたら優勝していたが、優勝を知った時は東京で大喜びした。
最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に加えてリーグMVPを取り両手いっぱいに表彰状を持っている芦谷くんを見て、勝手に誇らしい気持ちになっていた。
しかし、この年もドラフトに呼ばれることはなかった。
うちの贔屓球団のスカウトは見に行ったのか?どこを見てたんだ?こんだけ安定した成績を残せる人なんて欲しいに決まってるだろ?
そう思いながら、これから芦谷くんがどう人生を選択していくかが気になった。
サラマンダーズに入団した時に「1年勝負。呼ばれなかったら引退する」と言っていたからだった。
そしてその翌月、芦谷くんは宣言通り火の国サラマンダーズを退団、現役引退を表明した。
見に行こうと思ったタイミングでコロナもあり行けなかったことが本当に悔やまれた。悲しいとは思いつつ、本人の新しい人生を応援しようと思った。
年が明けて5月。
就活をして上京するという話を聞き、お会いする機会があった。
マウンド上の姿しか知らないので松岡修造のような熱い人だと勝手に思っていたが、実際はとても爽やかでニコニコした可愛らしい後輩のような雰囲気の人だった。
そして、ただがむしゃらにやるのではなく理論的に考え抜き、実践し、試行錯誤を繰り返しながら身につけるために必要なのがやる気という考えなんだと話していて思った。
私のカーブが上手く曲がらないとか、手が小さくてフォークの握りが出来ないという何の気ない話にも親身に色々と教えてくれた。なんていい人なんだ。
そしてその時に信じられないことを聞いた。
「川口ゴールデンドリームスでもう一度野球をやる」
嬉しかった。本当に嬉しかった。また野球をしてくれることが何より嬉しかった。
しかも今度は関東!絶対に観に行こうと思った。
2024年6月17日。
全日本クラブ選手権埼玉予選。
9時からさいたま市営浦和球場にて、遂に生で芦谷くんの野球姿が見れた。
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客席は選手の家族、次の試合を控えてるクラブチームの選手くらい。
その日は暑かったのでほとんどの人が屋根のある日陰にいるにも関わらずネット前最前列で一眼を構えてるのは相当悪目立ちしただろうが、そんなこと関係ないくらい芦谷くんの野球姿を観れるのが嬉しかった。
中継ぎで出てきた瞬間から、両チームから
「プロ野球選手だけど打たないと〜!」
「高学歴だよ〜!」
「プロに勝てるかな〜!」
とあらゆるヤジが飛ぶ中、素晴らしいピッチングを披露した。
感動した私はその日のうちに、明日の試合も見に来ることを決めた。
翌日、9時に到着するとすでに試合が始まっていた。なんでJABAタイム採用してんねん。
その日は先発を任されていたので、ベンチ上から見たり正面から見たりと色々な角度で見ることが出来た。
完全に贔屓目で見ているので、芦谷君の時だけ審判判定辛くない?嫌がらせ?とか思いつつもピッチングが見られることに感謝していた。
試合が終了するとチームでミーティングがあるようで、それを待って会うことが出来た。
ずっと欲しかった芦谷くんのサイン。
サラマンダーズ時代の番号を書いてもらった。
サインを書いてくれてる時、ずっと「点を取られて悔しい」と言い、手も震えていた。
どの環境でも本気で野球に挑んでいる姿に感動し、そんな時にサインをもらう申し訳なさもありつつ芦谷くんの優しさに甘えさせてもらった。
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見に行けてよかった。
そう思い9月23日にも浦和球場まで行った。
毎回浦和球場。毎回9時。
電車も、球場までの道のりも流石に覚えた。
その日は1番DHで、当たり前のようにタイムリーを打っていた。
DHを解除してピッチャーとしてマウンドに上がると、三振を取り続けた。
上京して、家も仕事も何もかもが新しい環境で大変にも関わらず、そんなことは一言も言わずに努力して活躍を続ける芦谷くんは輝いて見えた。
芦谷くんは自身のSNSで
・全国クラブ野球選手権に出る
・都市対抗に出て東京ドームで投げる
という目標を立てていた。
芦谷くんなら達成できるんじゃない?
と思ってしまう。
目標に向かってこれからも頑張って欲しいし、
これからの人生も応援し続けたい。