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町屋良平「1R1分34秒」

普段、自分が他人に向けて喋る言葉は、自分の中のごちゃごちゃな思考の中から必要な部分だけを取り出して言葉にして吐き出す。

「あ、腹へったな」
「右端の女の子可愛い」
「マガジン立ち読みして帰ろう」

みたいな事をパラレルで考えているけど、実際に口から出る言葉は、『本日はお忙しい所、お時間を頂きまして大変ありがとうございます。』等。

そういう極端に個人的な思考を文章に織り込む事で、主人公の視点が読者それ自身のものに刷り変わるような錯覚を覚える。

氏の他の作品は未読だが、こんな雰囲気でずっと行ける訳が無いとも思う。

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