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毎年山が花の季節になると心が騒つく。北アルプスの高山帯なら雪渓が溶け始める7月中旬ごろから、太陽の光と雪解け水がそれまで眠っていた花々を目覚めさせる。 高山帯の雪解けは、6月末から7月上旬にかけてどれくらい雨が降るかによって、その時期と残雪の量が変わる。2021年、今年の黒部源流エリアでは谷筋では残雪が多く、稜線の雪は早い時期に溶けていたようだ。7月に入ってから雨が少なかったせいで、残雪が多いエリアもあった。たとえば標高の高い場所でチングルマやハクサンイチゲが咲き始めている
風景写真や山岳写真を撮影し作品として完成させていく時に必要な思考やテクニックを、毎回お伝えして行きます。今回のテーマは「高山植物の撮影」です。 <被写界深度と最短撮影距離> 高山植物の花を始めととする比較的小さな被写体を撮影する時に必要なカメラ側のスペックが、この2つです。まず「被写界深度」はピントが合って見える範囲ですが、絞り値の項で詳しく述べたように、これはレンズの開放F値と関係しています。背景をボカして被写体を浮き立たせる場合、開放F値が明るいレンズほど被写界深度
8月は黒部川の源流域である雲ノ平周辺をガイドしてきました。雲ノ平は「日本最後の秘境」と言われる場所ですが、プロにガイドになるきっかけを私に与えてくれた場所です。その事は稿を改めるとして、ここでは大東新道について話を進めます。 大東新道は、薬師沢小屋から黒部川を少し下り、やがていくつかの沢を横断しながら高天原峠へ向かう登山ルートです。峠の先には高天原山荘と温泉がありあります。この温泉はおそらく日本でも有数の秘境温泉です。大東新道の由来は、高天原にあった鉱山から鉱石を運び出すた