いばら姫
薔薇よ薔薇
私の体を養分にして
美し花を咲かせておくれ
あの人は行ってしまった
私の手の届かないところへ
ひとり取り残された私は
希望さえ失くしてしまった
絶望と言う名の牢獄に囚われて
薔薇の臥所で永遠に眠る私はいばら姫
愛しい王子様が現れるまで
薔薇に抱かれて眠り続ける
もしも戦争が終わってあの人が生きていたら
彼は私の元へ帰って来てくれるかしら
薔薇に包まれて眠る私をみつけたら
あの人はくちづけて私を目覚めさせてくれるかしら
虚しさよおまえの名前は?
もう何度同じ問いを繰り返して来たことだろう
きっと王子様は永遠にやって来ない
あの人が帰って来なくても
あの人がくちづけてくれなくても
私はここでひとり薔薇と共に咲き続ける
時が無残に私を醜く変えてしまっても
美しい花が咲けばそれでいい
虚しさよおまえの名前は?
もうこの問いは二度と繰り返すまい
まもなく私の四肢を切り裂いて
薔薇の根はあたりを埋め尽くす花園となることだろう
私は薔薇に抱かれて永遠の眠りにつく
いつまでも美しいいばら姫となって