#一日一短歌 2023年3月分
もう2年近く前のことになったけど、結構鮮やかに思い出せるのは短歌があるからです。ありがたいね。
3/1 遠くまで羽ばたくことをゆるされたことば 誰かのこころにとまれ
ツイッターで短歌を詠むことについてもだもだ考えたりすることもあるけど、そうやって発表媒体を悩めること自体幸福なことだと思う。
3/2 人生は無意味なことであふれてていとしいきみの握るどんぐり
これまであんまりどんぐりとか拾ってこなかった息子、この日は珍しく園庭で拾ったどんぐりを持って帰ってきた。(どうするんこれ……)と思いつつ、嬉しそうな息子の顔が嬉しかった。
3/3 結婚記念日で夫とごはん食べにいったよ連作を詠みました。
3/4 ポルノグラフィティ岡野昭仁さんがソロで「TOKYO GUITAR JAMBOREE 2023」に参加するってんで、単身東京へ。あまりに近い席(前から2列目!)だったんで興奮のあまり連作を詠みました。
3/5 何十年かぶりに深夜高速バスでエクストリーム帰宅をキメてしまった。37歳、まだいけるんやと自分でもびっくりした、そんなひとり東京旅行を連作に詠みました。
3/9 わからないことをわかると言うときの「あ」の音で愛してると言って
それは嘘じゃ~~~~~~~ん
3/15 園庭でいつもどおりに手を振った子の手を握る まだちいさいね
息子の卒園式でした。もう幼稚園に行くことはないんだけど、息子はいつも通りに「ばいばい、またあしたね」って挨拶をしていました。大人はそれだけで大号泣です。
3/19 今食べたキャンディみたいなくちづけがしたいな なんて、ああ、あ、言えない
句読点の使い方一生悩む。
3/19 約束もなくくちづけをねだられて拒めないのを見透かされてる
そういうのは拒め!!!!(でも拒めないのが癖(ヘキ))
3/19 見覚えのある分岐点 足掻いても好きになるのはいつもここから
いつもここから、っていうとついお笑い芸人の方を思い出してしまう。レッドカーペット世代なので。
3/20 早急なキスで傷つく真実も嘘もどこにもないよ 好きだよ
欲望が混ざって夜はどす黒く沈んで明けないような朝焼け
ひとりでもよかった夜にきみがいてふたりでいると苦しい呼吸
いつまでも満たされなくて偉そうにどこかで拾った愛ばかり説く
剥かれればからっぽだから服を着たままこの夜に溺れていたい
走り出すための靴よりここで立ち続けるための靴がほしい 春
どこまでも行ければよかった明るさが終わりを暴く春の夕方
この日は勢いのままにばーっと詠める日だった。ほぼ連作じゃん。こういう日ばっかりだったらいいのにな。
3/23 このキスも熱も吐息も跡形もなく忘れてく魔法がほしい
まつ毛さえ触れ合いそうな距離 夜が深くなること待ちわびている
その腕はやわらかい檻 いつまでもたやすく抜け出させないでいてね
泥沼のような恋でも、幸福の方が少しだけ多くないとやだなって思っちゃう。この日も連作ちっくですね。
3/24 たましいが帰ってこない あの夜の熱が代わりにくすぶったまま
からっぽの胸にいくつも埋め込んだピースの隙間がときどき痛い
何もかもこぼれてしまうように空すべての青が花びらになる
昭仁さんにあまりにも近距離で会ってしまったせいで、しばらくたましいが帰ってこなかった。あんまり過去に戻りたいと思わないわたしだけど、あの日は素敵すぎてしまったんだよなあ。
3/25 壊れてもいいよわたしの前でだけ誰も知らないきみを見せてよ
星たちを繋いできみを照らしたい 燃え尽きることを愛と呼んでよ
何かをしてほしい、という短歌を詠んでしまいがちなんだけど、ものすごく身勝手だなと思う。同時に、やっぱこれが恋なんだなとも。
3/31 ぐちゃぐちゃになったわたしの恋心 埋めても埋めても持て余しては
春だから夢を見ていたきみの目の前であざとく散ってしまうの
きみだけは間違えないでよく見てて梅でも桃でもない花びらを
伝えたいことがあふれるさよならの代わりに舞って、舞って、まってよ
儚さは小さな棘のように降るいちいち泣いていられないほど
よく晴れた春のまひるに吹く風のかたちはまるく土を撫でゆく
月末の帳尻合わせに、桜をテーマにして連作風に詠みました。桜、どうしてあんなに魅力的なんだろうな。
この月は、4年勤めた職場を去ることになってずっとセンチメンタルだった。新しい場所でうまくいく自信があまりないまま、中途半端な気持ちがずっと続いていたように思う。今となってはそれも……まあ……いい思い出…………ではないな…………