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#一日一短歌 2023年2月

2/2 僕からは遠い紛争地の子どもたちの視線で重い資料集
 公民科って科目は、どうしても世界の諸問題に向き合わなくちゃいけないから、そういう単元を扱うときは気が重いし、なんなら教材もなんもかんも全部重い。

2/3 終わらないものなどないのまっさらな砂噛むここが最後の浜辺
 終わらないのに最後なの?って即詠だから一首の中で矛盾してることも時々ある。

2/3 遠くには行けないと知りつつ眠る郊外行きの通勤特急
 「通勤特急」という区分の電車には乗ってなかったけどね。

2/6 凍りつく喉にやさしく触れられてきみしかいない世界になっちゃう
 寒かった日だったんだねきっと

2/6 もっとばかになりたかったよ何本も普通列車を見送る きみと
 何もかも捨てられるほどばかにはなれんかった。

2/6 寝顔だけあの頃のままあどけなくきみはわたしの最後の赤ちゃん
 これ以上子どもはもたない予定なので、ぼこはいつまでも赤ちゃんな気がしてる。

2/10 きみに会うために負けない10センチヒールのブーツの踵を鳴らす
 「負けない」はどこにかかってるんだ……?

2/10 雨上がり 分厚い雲のフィルターをかき分けて射すひかりのきみだ
 また安易にきみをひかりにしているな。

2/10 空を飛ぶ鳥の目線で眺めてる通勤電車の大きな窓辺
 高架を走る電車に乗るの、好きですね。

2/10 愛は雪 積もってきみを押し潰す 舞い散るならば美しいのに
 舞い散る雪しか知らないけどな。

2/17 そう、嫌い、だったよ きみの曖昧な言葉は刃物 法も犯した
 唐突な犯罪者宣言はどうしたんだろう、もうちょっとうまいこと言えんかったんかな。

2/17 その線を越えてくるなよこれはフリとかじゃないから(踏むな、ばか、ばか)
 越えてくるなよ、って越えてきてほしい人の台詞だ。

2/18 月だってひとりはつらいから星を巻き添えにして夜に溶けてる
 月と星ってつい同志扱いしてしまうけど、ただ同じ場所にいるってだけで性質は全然違うのよなと最近よく考える。

2/20 通過した駅をきちんと覚えてるきみの恋人になりたかった
 ただの鉄オタって説もあるけど、流れゆく街にいる人々の暮らしにも目を向けられる細やかさとか、そういうことだよ。

2/20 戦略的撤退 ここを踏み越えてしまえば花が咲く地雷原
 美しいけど致命的な傷を負ってしまうよ。

2/20 乗り換える駅を間違いもうきみの街に降り立つ口実がない
 また乗り換え間違えた日だったんかな……

2/20 正しさを振り払い飛ぶ大空に溶けてしまえるすずめしたたか
 「すずめしたたか」のリズム感は気に入っている。

2/20 いとおしき堕落 きみには伝えない感情だってあっていいでしょ
 好きになると重たくなるタイプなんで、こういうそっけない物言いができなくなるし憧れる。

2/20 このままじゃ戻れなくなる境界でどうしようもなくなるようなキス
 フィクションならそういうシチュエーションが癖(ヘキ)。

2/20 伸びきった防衛線をやすやすと跨いできみが不敵に笑う
 フィクションなら(略

2/21 悪魔でもきみの姿をしてるならいいよ 闇夜に開け放つ窓
 そういう設定のめちゃくちゃ刺さる漫画があって、もうずっと主人公に幸せになってほしいって思い続けてる。

2/22 #短詩の風2023に参加しました。五七五七七で物語を書く「短歌条例」にも挑戦した、個人的に気に入ってる一枚です。

2/24 さよならの気配だんだん近づいて今日が最後を重ねる冬の
 当然のように卒業まで担当できると思っていた生徒たちと別れなければならなくなって、「今日が最後」と言い出せずに何もかも終わってしまった冬だった。

2/24 伝えたいことはたくさんあったのにおそらく今日もいつもどおりに
 若い頃なら自分から「今日が最後だからね!」って言えたかもしれないんだけど、自分がそこまで言っていいのか、その必要性があるのかわからなくて、誰にも言わずに突然いなくなった人みたいになっちゃったの、いまだにどうしたらよかったのかわからん。

2/26 かわいい、って言われたかった砕かれたキャンディいつまでも溶けきらない
 好きとか愛してるとかより、かわいいって言われるのがいちばん嬉しい。

2/27 べとべとになったくちびる甘さだけ残して帰るなんてずるいな
 ずるいな~~~

2/28 足早に過ぎゆく風に咲く梅は冬の終わりの街にひそやか
 家に帰って調べんと梅ってわからんかった。いつもわかんなくなる。

2/28 寒空にほころぶ花を指さしたまるいほっぺも同じ桃色
 子どもたちと歩いてるときに見つけた梅でした。めっちゃいいにおいした。






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