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SPY×FAMILYの #推し短歌 を詠む


 「今いちばん続きが楽しみな漫画は何だ!?」と背中に銃を突きつけられたら、両手を高く挙げて「SPY×FAMILYです!!」と叫ぶほどには毎週更新を楽しみにしている。残念ながら現在は月1連載になってしまっているが、この10月からアニメの新シーズンが始まったので、そのさびしさも少し解消されているところだ。

 もはやわたしが説明せずとも多くの人がご存じと思うが、主人公は凄腕敏腕スパイ<黄昏>、彼が精神科医ロイド=フォージャーとして任務のためかりそめの家族を演じることで物語は進んでいく。孤児院から引き取った(本当はエスパー少女の)アーニャ、利害が一致した結果妻として選んだ(本当は殺し屋の)ヨル、そして途中で出会う(本当は未来予知ができる)ペットのボンドを中心に、嘘と謀略だらけの日常をスリル満点に描くスパイホームコメディである。

 ……これだけだと、ちょっと設定もりもりだけどよくある少年漫画のストーリーである。しかし、「SPY×FAMILY」のどこにそこまで魅力を感じるかって、どう転んだって100%ハッピーエンドにはならなさそう、というところだ。

 <黄昏>の目的が達成されれば、フォージャー家、つまりロイド、ヨル、アーニャは解散(元の生活に戻る)となるだろう。この家族は<黄昏>にとってはあくまで任務のために結成されたにすぎない。にもかかわらず、回を重ねるにつれ、明らかに<黄昏>はロイド=フォージャーとしての人生に馴染むようになっていく。それまでの任務のように容易には、その人格を捨てられなくなっているのは明らかなのだ。

 同じことは妻役を演じるヨル=フォージャーにも言えることだ。殺し屋の本性をひた隠すために、ヨルはロイドと夫婦役を演じることにした。しかし<黄昏>が目的を達成すれば、殺し屋<いばら姫>としての生き方は奪われる。間違いなくこの先どこかで、<黄昏>と<いばら姫>が邂逅し、お互いの正体を知り、今までと同じように嘘をつき続けられなくなる。きっとそういうシーンをすでに作者は描いているだろう。

 そのとき、フォージャー家はどんな未来を選択するのか。もちろん、漫画として美しい終わり方をするのであれば、「だれひとり失いたくはない」という想いをアーニャが読み取ってくれるのが一番綺麗ではある。ただ、そのようないわば「ジャンプ的」なハッピーエンドを見据えているようには(個人的には)あまり思えない。それは作者である遠藤達哉先生のこれまでの作風や、週刊少年ジャンプ本誌での連載ではないからこその自由さから感じている。

 ただ、どんな展開になったとて漫画として面白いのは明らかだし、どのようにも転んでいける無限の可能性を感じるからこそ、この先も「SPY×FAMILY」からは目が離せない。今月も更新を楽しみに待ってます!アニメも映画もなんかよくわからんコラボもね!献血はした!

雷鳴が暗い東の空を駆けめぐる 今日から家族のぼくら
西日には黄昏の赤 夕暮れは歪んで見える箱庭の夢
はりぼてを抱きしめ深く眠るときここを愛しく思ってしまう
守るため伸ばした腕の白くありいばらの花のうつくしきこと
禁断の林檎が落ちる にんげんのつみはあまくてやわらかいもの
どちらから昇るとしても太陽は世界にしずかなひかりとなって
ピスタチオ、アーモンド、ピーナッツ まだ知らない味を探す街角
生きるため乗り越えるべき任務<ミッション>はわたしを導く八つの星<ステラ>

 とはいえ登場人物みんなかわいいので、全員もれなく幸せになって大団円を迎えてほし~~~~~~!!!!!!と更新のたびに思うのも事実なのでございました……登場人物全員魅力的すぎるんよ。





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