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ポルノグラフィティの曲をモチーフにして短歌を詠んでみた その1
自分のポルノグラフィティへの愛の表現方法として、曲をモチーフにした短歌を詠む、ってのをしばらく前からやっている。曲やライヴの感想を書くことは主にnoteやTwitterでやってたんだけど、溢れ出るクソデカ感情を持て余した結果、それを短歌にするところに行きついた。
そもそも完成された彼らの楽曲を自分が短歌に詠むことが果たして正しいのか、という不安もなくはないんだけど、絵が得意な人がファンアートを描くように、物語を編むのが得意な人がソングノベルを書くように、評するのが得意な人がライナーノーツを書くように、短歌を詠むのが得意(とは言い切れないが)な自分が、ポルノグラフィティの曲で短歌を詠んでもいいだろう。だめだったらこっそり優しい言葉で教えてね。
Twitterでは「#ポルノ短歌」というハッシュタグをつけて流すようにしている。自分以外にも使ってくれてる方々がいて嬉しい限りです。
ポルノグラフィティに限らず「楽曲を短歌にする」という作業をする場合、わたしはその楽曲から思い浮かべた景色や感情を短歌にする。その曲のテーマに沿うように作りたいという気持ちはあるが、もしかしたら「その曲はそういう物語ではない」と思う読み手もいるかもしれない。また、できるだけ歌詞に使われた言葉は使わないようにしている。歌詞はそれだけですでに完成されているから、歌詞を使いすぎると「ただ歌詞に使われた言葉を並び替えただけ」になりかねないからだ。ただ、「この曲のこの部分を思い浮かべてほしい」という時は使うこともある。連作をつくりたいときは、時々そういう歌詞の使い方をする。
そう考えると、わたしのこの行為は二次創作に近いのかもしれない。原作のワンシーンを拡大解釈して登場人物を拝借して物語を作るような作業なのかも。
そんなわけで、ここまでで詠んだポルノ短歌をまとめておく。今後の目標はポルノグラフィティのすべての曲を短歌にすることです。末永く待っててくれよな!
テーマソング
背中には羽は生えない この足で飛び込む先が青であるよう
暗闇を抱きしめたまま前を向く優しい嘘を自分について
独り言みたいなエール誰かにも届けば少し晴れていく空
美しい景色を選ぶのはわたし 震える胸を信じるだけだ
あやふやなメロディのまま歌うからわたしはわたしのテーマソングを
REUNION
抗えぬ力もあってそれぞれに引きちぎられる夜の絶望
雷鳴が裂いた世界の裏側を覗けば反転してしまう空
垂らされた糸を握るかこの熱で不変の意志を紡ぎ出すのか
繋がれる強さを胸に繰り返し闇の中でも結び直そう
離したくないものは何? 自問する孤独を重ねて焦がれる朝日
IT'S A NEW ERA
明確に宛てある旅だ きみというひかりが指した方へ踏み出す
波音に紛れてさらわれる声を離さずにここまで来たんだよ
目の前に広がる海は果てしなくその果てなさに焦がれる瞳
きみは神ではなく少し前を行くわたしと同じ速さの呼吸で
かけがえのない約束を握りしめきみの名を呼ぶ 何度でも呼ぶ
瞳の奥をのぞかせて
まなざしが溶かすためらい 透き通る黒い瞳に引きずり込まれて
飲みほしたワインの舌でなぞるのは迷い、嘘、罪、秘密、横顔
ねえどこをみてるの みないで うす暗い夜ごとすべてを剥かれてしまう
ひとつずつ傷を増やして確かめるこれが最後にならないように
いくつもの咎を数える指先に触れるくちびるだけあたたかい
眠るたび忘れる痛みとろとろとこぼれる青いインクのにおい
ほんとうはどこにもなくてからっぽの白いシーツが朝にまぶしい
愛なのと問えば愛だと微笑んでくれるのでしょう それだけでいい
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WORLDILLIA
M1. CLUB UNDERWORLD
華やかな甘さ沈めたカクテルは澱みをすべて飲みほすための
M2. 惑星キミ
ねえやっと巡り逢えたね遠くても届くひかりを宿した瞳
M3. 元素L
シンプルな言葉は街に溶け出して君に好きだと言うまでは冬
M4. Mugen
夢にしてしまえば終わる幻を掴んだ先は闇だとしても
M5. デッサン#3
この部屋に君の気配が残されてまだ振り出しに戻ってしまう
M6. ヴィンテージ
混ざり合う僕らはいつも曖昧な境界を目隠しで探って
M7. ワールド☆サタデーグラフティ(★★★)
雨音が跳ねて彼女が笑ったらグッナイベイビーせめておやすみ
M8. 素晴らしき人生かな?
傷つかずいられるならばぐずぐずの心のままに生きていくのも
M9. 朱いオレンジ
痛みすら見失っても夜は明ける悲しみばかりの波にさらわれ
M10. Go Steady Go!
さめざめと泣いてる君の輪郭がぼやけないよう抱きしめるから
M11. カルマの坂
みずからを守るためには剣よりも持つべきものが彼にあったか
M12. didgedilli
耳を刺すディストーションでもう一生虜にしてよリバーブ、リバーブ
M13. 渦(Helix Track)
執着を愛と言いかえ正統化した欲望が喉に詰まって
M14. くちびるにうた
くちびるにうたを あなたの人生に抜けない棘としての花束
WORLDILLIA
理想郷、望めばゆけるその場所にかがやく音を纏って進む
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メビウス(仮)
この部屋の朝の終わりに怯えてるあなたが世界になった夜から
星だったあなたに触れるしあわせは青いひかりに溶けて流れる
くちびるに知らない名前の花が咲くいずれあなたに摘まれるはずの
美しいことばしか知らないからだ冷たい息に喉が詰まって
永遠を描いた赤い約束を解いて垂らす闇の底まで
何度でも呼吸は止まる落ちてくるあなたの涙が頬に沁むたび
あたたかいかけらを拾うこなごなになったのは何だったんだろう
この恋はあなたに殺してほしいからやさしい両手でとどめをさして
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見つめている
仄暗い夏の日陰に溶ける恋 笑ってんなよわかってんだろ
どろどろの愛はすべてを知りたがるこじ開けるための鍵の在り処も
つかまえたもう離さない新しいリングをキミにはめてあげるね
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ネオメロドラマティック
手の中に一縷の希望 祈るため閉じた視界が赤くなっても
ROLL
ひとつずつきみを愛する終わらない物語とは限らないから
プッシュプレイ
歓声で拍手で拳で呼んでいたい闘い続けるきみの姿を
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Heart Beat
はじまりの鼓動はいつも君の声めざめはいつも君が鳴らす音
カメレオン・レンズ
これは毒かもしれなくて撫でられた頬に火照りを許してしまう
行間を読むようにくちづけるときまぶたの裏に咲く薔薇の名は
曖昧な空気を孕み膨らんだシーツの白のまぶしさは罪
目の前のきみの在り処を探すとき白と黒さえ歪めてしまう
確かめた境界線でまざりあうこれは愛ではないと言えずに
恐いほどきれいな声で鳴くきみの羽は何色だったんだろう
(岡田奈紀佐さん @spice16g と共作)
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BUTTERFLY EFFECT
だいたいそのシングルやアルバムのリリース日に感情を爆発させながら詠んでいる。これもひとつの愛情表現だと思っていただければ嬉しい。みんなもポルノ短歌詠もうぜ。