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「クリスチャン ルブタン」の赤い靴底 事件

靴底を赤色にした「クリスチャン ルブタン」という高級ファッションブランドがあります。

しかも、マニュキュアのようなピカピカ光る赤色です。

クリスチャン ルブタン靴
最高裁ウエブサイトよりダウンロード)

同様に靴底が赤である靴を、被告がショッピングサイトで販売していました。

被告靴( (株)エイゾーコレクション)
(最高裁ウエブサイトよりダウンロード)


クリスチャン ルブタン社(原告)は、被告を不正競争として提訴し、被告靴の販売停止等を請求しました。

被告の靴は、原告の「靴底が赤」という周知な商品等表示と混同を生じさせる、という理由です(不正競争防止法2条1項)。

つまり、「靴底が赤」という特徴に基づいて、不正競争と主張したのです。


結論として、この主張は認められませんでした。

理由は、

① 原告の靴底の赤は、「ラッカーレッド」
これに対し被告の靴底は、「赤色ゴム底」
このような材質等の相違から、明らかに光沢及び質感が異なる

② 原告商品にそれほどの周知性はない

販売期間は約20年。

広告としては、「サンプルトラフィッキング(雑誌や著名人などから依頼されて、雑誌などメディア用に撮影するために貸し出す、という広告宣伝方法)」を行っているに過ぎない。

原告は、自ら広告宣伝費を支払って広告しているのではない。

③ 原告商品は、最低でも8万円もする高価格帯ハイヒール。

被告商品は1万6000円くらい。
8万円もするような高級ブランドの消費者は、商品の出所(メーカー)を確認するのが通常。

靴底や中敷にブランドのロゴが付されているから、これを確認すれば、原告靴と被告靴とを混同することはない。

と判断されました(平成31年(ワ)11108号)。


あまり高級ブランドにこだわらない私からすると、

「靴底」のような見えない部分に「ラッカーレッド」を塗った、8万円もする靴を買うこと自体、脱帽です。

しかし、靴底にまで拘りをを持った靴であれば、きっと外観全体もお洒落なのでしょう。


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