見出し画像

「あまおう」苺の今後

苺「あまおう」の品種登録(育成者権)の期限が今月20日に切れ、それ以降は誰でもこの品種を利用できるようになります、ということがニュースになっています。


今日は21日なので、もう満了しましたね。

種苗法の「育成者権」があり、これは、品種登録することにより発生し、育成権者は、品種を利用する権利を独占します。


「あまおう」の育成者権が今月20日に切れてしまいました。

品種の正式名称は「福岡S6号」です。

育成権が満了した後は、他の生産者もこの苗・苺を生産したり、販売でき、福岡県の特産であるこの品種が県外に流出する可能性大です。


そこで、福岡県は、徹底的な流通ルートの管理を行うことを宣言しました。

この品種の「苗を県内の生産者限定で供給する」とのことです。

そして、県外に苗が流出したとしても、「あまおう」の名前を付けることはできません。

なぜでしょう?


「あまおう」の商標権が存続しているからです。

「あまおう 甘王」の登録商標を「全国農業協同組合連合会」が有しています。

商標登録4615573号として、2002年に登録されました。

10年ごとに更新を繰り返せば、永久権として保持できます。

これはまだ権利が存続しており、この権利は更新を繰り返すでしょうから、この商標を第三者が有することは今後できません。

したがって、たとえ「福岡S6号」の苗を福岡県外の生産者の手に渡っても、その苺に「あまおう」やそれに類似する名前を付けられず、別の無関係の名前を付けざるをえません。

そうなると、消費者は「あまおう」と同じ品質でも、「あまおう」と認識できず、結局は「あまおう」ほどの人気は出ないと思います。

有名商標・ブランドとはそれくらい価値のあるものです。

人々の長年の信用がブランドに蓄積しています。

福岡県産いちご あまおう 12~28粒入り
Amazon(アマゾン)より

この事件を通して、特許と品種登録の違いに気づきました。

発明は、技術的アイディアであるため、特許権の存続期間が満了すると、誰もがその無体のアイディアを使えるようになり、存続期間満了後に特許権者が販売ルートの統制をすることができません。

しかし、品種登録は「苗」という有体物であるため、苗を供給する生産者を県内に限定するなどの統制ができます。

いいなと思ったら応援しよう!