驚き旅のつくりかた
本屋で何やら騒がしい声が聞こえる。
大学生くらいの男の子2人が、私の横で騒いでいた。
「ここ本屋だぞー。」
と思いつつ、あまりにも楽しそうだったから
「本屋で何をそんなに騒ぐことがあるんだろうか??」
と疑問に思っていた。
彼らは、るるぶトラベルだとか、じゃらんだとか、ことりっぷだとかの、旅情報系雑誌を見て、
「ここのご飯が美味しそう」
「この橋を見に行きたい」
「この電車に乗りたい」
などと話していた。
今度2人で旅行でもするんだろうか。
1人が、整然と並べられている旅情報系雑誌の背表紙を人差し指で撫でていく
目を瞑ったもう1人は「ストップ!」という
そこでとまったところにある場所の雑誌を取って、行き先を決めているようだ。
行き先なんてどこでもよくて、
ただ今ある日常から抜け出すことに必要な勇気がどれほど2人にとって魅力的かは、言葉にする必要がないと思った。
騒がしいが、行き先を決める2人は、なんだかものすごくキラキラして見えた。
騒がしいが、ここに行きたいと希望を膨らます2人は、ものすごく楽しそうに見えた。
ああ、そういえば私は、旅を広める学生団体にいたんだった。
忘れかけていることも多いけど、やっぱり私の根底にあるのは
「旅で世界を素敵にしよう」
ってことだった
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私たちはやっぱり、旅行先でどこいく?ってなったときに使うツールは、Instagramだったり、TikTokだったり、動画メインのものが多い。
彼らが使っていた情報誌のように、こだわった写真にこだわったレイアウトに触れる機会というのは、思った以上に私たちにはないのかもしれない。
ハッシュタグひとつで調べられる今は、とっても便利だし、私もよく使う。
InstagramやTiktokが私たちに提供してくれるものは偉大だ。ものの数秒で、私たちを旅へと駆り立てる。
遥か遠く離れた地のものから
歩いて20分で行ける地のものまで
「いつか行ってみたい」という
知らなければ抱けなかったような夢を
手のひらよりも小さな箱の中で、瞬く間に作ってしまう。
そしてその場所に行って
「インスタで見たやつだーー!」
と感想を言う。
手軽に撮れた動画を
手軽に目にし
手軽に訪れる
これを「現代旅」と定義するのであれば、こうやってわざわざ旅情報誌を使って旅することをなんというだろうか。
たった一面で切り取られた写真や、たった1人の感想のみ書かれた本文だけを頼りにしてその地を訪れ、想像と違ったことに驚きを感じる。
その画角では入っていなかった情景や、記者とは違う受け取り方に、驚きを感じる。
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なんだかとっても儚くて尊い「旅」の瞬間を見つけた。
どうか楽しい旅にしてくれ少年!!!
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放浪癖もち飽き性単位諦めがち注意散漫の限界大学生です