あおはる大学生 #1
大学2年の春。
気づかないうちに、カップルが増えている。
別れた噂はすぐに回るのに、付き合った噂はあんまり流れない。
こんな私も一応女の子だから、恋バナのひとつやふたつ、持っていたい。
残念ながら、ないのだけれど。
それなりに、人に好かれている自信はある。
なんてったって、私はいつもムードメーカー。
仲の良い男友達はいる。
たまに、そういう意味で、好きになったりもする。
でも、絶対に告白はしない。
なぜって、私が女の子として見られていないからに決まってる。
「ハナは、女子でも男子でもないって感じ!」
「ハナって、イケメンだよね!」
「ハナは、お笑い芸人みたい!」
周りの人は、いつもそうやって私を褒めてくれる。
嬉しい気持ちがある反面、少し寂しいような、悔しいような気持ちが、プツプツと顔を出すときもある。
本当に、自分ってわがままで面倒くさい奴だな。
そんなことを考えてたら、夜になった。
春の夜は寒い。
お腹を出さないように、パジャマをしっかりズボンに入れて、布団を被る。
夜の考え事はよくないらしいし、明日はサークルの新入生歓迎会。
せっかくかわいい後輩たちに出会うのだから、良いコンディションで臨みたい。
寝よう。
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