共通点は、ラピスラズリ

高校生の頃のお話を、ほんの少し改変しています。

高校に入学し、友達に誘われて入った部活。先輩もみんな優しくて面白くて、きつい練習も先輩方が褒めてくれるから乗り越えてこれた。そのくらい、素敵な先輩方で、この部活に入って良かったー!と、心から思えた。

そんな先輩方の中に、地元が同じの、男の先輩がいた。地元は田舎だったので、帰りの電車はいつも最寄り駅まで私と先輩の2人だけ。とはいっても、2人ともイヤホンをつけて自分の世界に入り、お互いに過干渉せずに帰る毎日。部活で疲れているし、何も思っていなかった。

毎日の練習や合宿を重ねていくうちに、気がつけば先輩方の最後の大会の日になった。大好きで、尊敬している先輩方が引退されるのは本当に悲しくて、私は先輩方よりも泣きじゃくってしまった。最後くらいは笑顔で写真を撮って終わりたかったけど、寂しい気持ちが勝ってしまった。

連日遠方での大会であったこと、そして泣き疲れてしまったこともあり、大会最後の日、帰りの電車で私はぐっすり眠り込んでしまった。降りる駅の一つ手前の駅を発車したとき、少し離れて座っていたはずの先輩が私の後ろのボックス席に来て、その日渡した色紙を、私の頭の上にポン、とのせた。びっくりして起き、上を見上げる私を見て、先輩は柔らかく笑う。それを見た私は、先輩と、後輩、だったはずの距離を、動かしてしまいたくなった。当時私には彼氏がいたのに、考えてはいけないことで頭がいっぱいになった。よく、胸キュン展開、なんて言うけど、キュン、なんかじゃ済まなかった。心臓は壊れそうだし、肺はまともに機能しない。命の危機と言ってもいい。

もう、引退したから毎日先輩には会えないし、先輩は受験生だからそういうことも邪魔になるかもしれない。だから、やめろ、考えるな、自分。そもそも、その思考に至っていることが全てを物語っている。

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