わたしを惑わす白い粉
午後1時。コラーニング(大講義棟)にて。
「例のやつ、持ってきたよ」
「凄いね」
「純度100%だよ」
「見れば見るほど怪しいね」
「じゃあ、道具は全部入れてあるから、手順通りお願い」
事の発端は、以前の記事でお話した通り「サゴヤシのデンプン」の注文。どーんと1kg到着。さて、どうやって食べるか。まずは授業で聞いた通り、お湯で練ってみるか。でも、味見は二人以上欲しいから、やっぱり小分けにして学校に持っていこう。
……あ、私、今日の授業5限までびっちりだった。お湯は学食にあるから、先に練っておいてもらうしかないかな。
「6限に一緒に食べよう、ついては加工しておいて」
この胡散臭い誘いを断らなかった友人に感謝。
そして5時間後。
「めっちゃ多方面からの視線浴びた。なんなら教授もガン見してた」
「『違うんです!これはただのデンプンです!って言った?』」
「言えるかそんなん」
「植物由来の天然成分100%のピュアなブツですって」
「打ちも吸いもしないです、食べるだけですって?余計怪しいわ」
「あのさ、作っておいてなんだけど」
「はい」
「ちょっとダマになった、そして冷めたら白く固まった。ぜっっったいこれ不味い、賭けてもいい」
「……持って帰って食べるね」
一緒に堕ちる約束でしょう?とは言えなかったよさすがに。
そして帰宅後試食。
……Mちゃん、君は正しかったよ。変な味がついているとかではない、むしろ味はない、でも何というか、ティッシュを食べているような、ゴムを噛んでいるような、要は無機質な、粉っぽい塊。美味い不味い以前に食べ物の味がしない。
しかし不味い不味いと切って捨てては、これを常食としているパプアニューギニアの方に申し訳ない。というか、この状態で食べるのが、多分そもそも間違えている。生米をかじって「ライス不味い人の食い物じゃない」って言う外国人がいたら腹が立ちますね?というわけで、電子レンジで再加熱。
さっきと違う!ちゃんと食べ物になった!デンプンの糊化(α化)すごい。
そうは言っても、デンプンそのものの微かな甘味はあれどこれだけで食べるのはさすがに物足りないので、かけるソースを考える、あるいは粉としての活用方法を考える必要がありそう。なにせあと950gは残ってるし。