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ナイトランの極意

夜通し走る…睡魔をこらえて、幻覚・幻聴に見舞われながらも走り続ける。

100マイルや200キロ、250キロ…100キロを超えるウルトラマラソンでは避けて通れないこと。

私自身の経験では、睡魔に見舞われながらふらふら走っていると、一般の道路ではガードレールにぶつかったり側溝にはまりそうになったり、自販機や電柱にぶつかって「すみません」と謝ってみたり…様々な危険が待ち受けている。

三重県伊賀市に住んでいた頃、大阪市内で飲んで、最終電車がなくなった後3キロほど歩いて帰る途中に側溝にハマってかなり大きな怪我をしたことがある。

暗闇には魔物が潜んでいる…そんなジンクスを信じて私は極力日没後は走らないようにしている。同じ理由で寝ずに走るということは現在避けている。

鉄則としてあげられるのは、「眠気のある状態で走らない」ということ。いったん立ち止まり仮眠をとるか、眠気を完全に覚ますかすることだ。

睡眠障害を患っていた時期、一番恐ろしかったのは車の運転。交差点で停止する度に睡魔が襲ってくる。

そんな時は、コンビニでも道路脇でも安全確保のために車を停車する。

眠気を覚ます方法はいくつかあるが、私の場合、LEDの灯りをじっと見つめ続けたり、顔を冷たい水で洗ったりしていた。

冬場の寒い時期に夜通し走っているとさらに危険は増す。

気温が0度前後になる中で眠ってしまうと凍死の危険性もあるのだ。

あるライターの方が書かれていた、するめや干物を噛んでいると眠気が消えるというお話し…これもひとつの方法だ。長距離トラックのドライバーが言うには、チューインガムではだめで、味の濃いするめがいいのだという。私は辛子やわさびをなめていた。鼻や頭にツーンとくる辛さは確かに効く。タバスコのような刺激の強いスパイス類も効果があるかもしれない。

眠気を覚ますツボがあるという。

>> http://hadalove.jp/shake-off-sleepiness-pressurepoint-17788

じっくりと時間をかけてこれらのツボを刺激するのもいい。

過去に、夜中走っていて飼い犬に噛まれた経験がある。ヘッドライト(LEDライト)で足元周辺だけを照らしていて、突然ガブリ!!と痛みを感じて一目散に走って逃げた。

痛みの直前にライトで照らした先には子犬の顔が…。

できるなら、前方5〜10mを照らす灯りと、足元周辺を照らす二種類の灯りが欲しい。

舗装路であってもトレイルであってもこれは同じ。

後方から見えるように点滅式のLEDライト(赤色)と、足首には反射素材のテープ、できれば反射素材のベストも…。いずれも100円ショップで入手可能だ。

アテネ〜スパルタ間を走るスパルタスロンで野犬に襲われるケースもあるというが、かなり眩しいフラッシュライトを犬の目に当てると犬は怯えて逃げていくという。同じイヌ科のクマにもきっと通用するだろう。

ウルトラマラソンを走りながらアルコール摂取するのをやめろとは言わないが、ただ、真っ暗な中を酒気帯びで走るのはかなり危険。

酔っている間は疲労も一時的には失せるのだが、そのあとで一気に疲労と睡魔が襲ってくる。視界も狭まり、注意力も散漫になり、事故の危険性もさらに高くなる。

暗闇では平衡感覚も衰える。まっすぐ走っているようでふらつきながら走っていることもあるはず。これは自転車でも同じ。スピード感覚も昼と夜では違って感じるもの。調子に乗って走っていて転倒することもよくありうること。

特に寒い時期は、酔いが覚めた後、よりいっそう寒気を感じるようになる。

高濃度のカフェインを使った眠気覚ましやロキソニンなどのドラッグに依存するのは避けよう。胃のムカつきが起こるのは必至。

闇の恐怖に怯えるのではなく、真っ暗闇の世界をも楽しめるように…あらゆるものをありのままあるがままに、寛容な気持ちで受け入れて走ろう。


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高繁勝彦(アドヴェンチャー・ランナー)
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