フィンドホーン・コミュニティについて
” Do you want to do something to help the World Situation?
Then, look within. As you change your consciousness to
love, peace, harmony, and unity,
the consciousness of the whole world will change”
Eileen Caddy
今の世界の状況について、何か助けたいと思いますか?
であるならば、まずは自分の内側をみつめなさい。
あなた自身が愛や平和、調和と統合へ意識を変化させる時、
全世界の意識が変化していきます。
アイリーン・キャディ
フィンドホーン・コミュニティとは
スコットランドの北の端にある世界有数のエコビレッジであり、
日常に根ざしたスピリチュアリティ(霊性)を実践し
世界からその在り方と「実験」に参加している人々が共に暮らす
リビング&ワーキング・コミュニティです。
始まりは
良妻賢母であり、敬虔なクリスチャンだったアイリーン・キャディは、
ある時、自分の内側の深いところから小さな声を聴きます。
その声にしたがって生きることを決心したアイリーンは、夫の友人だった
ピーター・キャディと共に霊的な旅を始め、家族のもとを後にします。
非常に厳しい旅路を経て、1962年に友人のドロシー・マクリーンと
もうひと組の親子と共に、当時は荒れたキャンプサイトだった
キャラバンパークにたどり着きました。
壊れかけたトレーラーハウスに大人3人と3人の子供達が
共に暮らし始めた場所が、現在のフィンドホーン・コミュニティの中にある
ザ・パークの「オリジナル・ガーデン」です。
自然界の知性との共同創造
荒地に野菜畑を作る試み
『内なる神性』に繋がり、そこから聞こえる声に従って生きると言う、
当時のヨーロッパにおいては破天荒と言える生き方の実践を重ねる中で、
荒地を耕すという険しい道を選択し、壮大な実験が始まりました。
しかし、それは最初から「壮大な計画」だった訳ではなく、
「失業状態」というとても現実的な理由から、
生きるために必要な食べ物を得るという基本的なニーズから
生じたものでした。
保水力も栄養分もない砂地での野菜づくりは難航し、
試行錯誤を繰り返す中、ドロシー・マクリーンはある時、
自分たちの内なる神聖とつながるのと同様に、
畑の事は自然界の神性さ、その知性に同調していくことを試しました。
すぐにコンタクトが始まり、実際的なアドバイスや、
必要なものが手に入るというシンクロニシティの重なりで
荒地に野菜が育ち、しかも、それは時に巨大なキャベツや、
カボチャが実るという奇跡を実現していったのです。
失業者から農夫、そして教育者へ
砂地に生まれた豊かな農園は、
巷で「フィンドホーンの奇跡」と評判になり、奇跡を疑う地質学者などが
訪れては、その事実に感激して住み着いてしまう、というように
世界各地からこの奇跡に惹かれて人々が集まってくるようになりました。
この頃、アイリーンは
「ある日、ここは世界中から人々が集まる光のセンターになる。」
という内なる声からのメッセージを受け取ります。
それは、60年が経過した今、事実となりました。
奇跡が次々と起きた創成期の8年間に、現在のフィンドホーンの基盤が
出来上がり、やがて、コミュニティが育つと「生活の場」に
「教育」という側面が加わっていきます。
フィンドホーンの実践を学びたい、体験したい、
そしてこのコミュニティの一員になりたいと、
集まる人々にその実践を一週間で伝えるプログラム「体験週間」という
プログラムが生まれました。
フィンドホーンの実践を体験し、コミュニティの人々の深い愛との
出会いを通して、自分の中の愛のスイッチが入り、末期癌だった体が
癒やされたという体験をされた寺山心一翁さんが
その体験をまとめた一冊の本「フィンドホーンへの誘い」で、
日本でもフィンドホーンが知られるようになり、
その後次々と出版物が出てきました。
コロナ禍の波が押し寄せるまで、体験週間は40年余り、
毎週のように開催されました。
コロナ禍以前は、年間およそ9,000人の長期滞在、
日帰りのゲストが訪れ、常時およそ600人が暮らし、
これまでに体験週間を受けた人は30000人以上になります。
そして、国連とも連携し、NGOとして認証される共同体となり、
「自然界と同調して生きる」実践の成果で、
世界有数のエコビレッジとしても、パーマカルチャーや
「インカーネーショナルスピリチュアリティ(実在の霊性)など、
重要な実践と教育の場として注目されています。
2021年にグラスゴーで開催された「COP26」では、欧州の中で
飛び抜けてカーボンフットプリントの数値が低いライフスタイルが
評価され、モデルビレッジとして取り上げられ、
英国国営放送のBBCでも特集が組まれました。
それを目指したわけではなく、注意深く意識的に生きてきた
軌跡の先に用意されていた一つの評価といえるでしょう。
欧米や日本などはもとより、近年、中国やアジアの新興国でも、
エコビレッジへの関心と需要から「アウトリーチプログラム」として
フィンドホーン財団やコミュニティのメンバーが現場に訪れて
分ち合う場も増えました。
2022年3月にイギリス政府のパンデミックに際する
規制が全面撤廃となり、フィンドホーン財団も
宿泊型のプログラムを開始。
新たな形での「体験週間」が再開されました。
(英語のみ、海外からのグループの受け入れは2023年3月現在未定。)
スピリチュアルなあり方とは
私がフィンドホーンでの体験を通して学んできた
「スピリチュアルなあり方」とは、
自分自身の中にある声に耳を澄ませ、
ありのままの自己を知り、自分自身の力に繋がって立つと同時に、
自然界の大いなるリズムに同調し、世界を共同創造していく事です。
この前提に、全ての命は繋がっているという認識があります。
このような大きなビジョンを日々の生活の中にある小さなことから実践し、
「Love in Action」(愛を行動にして表現する)を選択していく。
それが、フィンドホーンの行動や形にあらわす
「スピリチュアリティ」だと、私は理解しています。
還暦を経て、新たな物語を紡ぐ
2022年、フィンドホーンは60歳の誕生日を迎えました。
40代でその地のたどり着いた創設者達の冒険は世代を超えて今、
若い世代へと引き継がれています。たどり着く先を決めず、
「今ここ」にいる自分と、そして、その自分を分かち合う仲間と
対話を重ねて生きながら、ユニークなコミュニティは現在も
日々成長しています。
訪れるたびに新しい気づきを得られるフィンドホーンへの旅は
その人にとって、人生の折々にピッタリのタイミングで
訪れることでしょう。
荒れ果てたキャラバンパークから、
人間と自然界との協働創造の実験を重ねた先に「生じた」
フィンドホーンコミュニティ。
実験の先にあるものは既知の真実ではなく、私達が愛に根ざして
世界と関わったなら、そこに何が生じてくるのか。
その未来に常にオープンであることが、
このコミュニティがつねに活きづいている秘訣なのかもしれません。
そして、これが多くの人々を何度となく惹き付ける「魅力」なのでしょう。
> フィンドホーン共同体のCommon Ground(共通理念)
フィンドホーンは宗教団体ではないため、教義を持ちません。
上記の共通理念を礎にコミュニティの人々は共同創造を実践しています。
筆跡 青木麻奈:
この記事は私がフィンドホーンで体験し学んだことを元に書かれています。