古代文字アート『愛と㤅』
今回、展覧会の会場の真ん中で
書の体験をしていただきました。
海外からのゲストに大好評で
本来は私たちがいつも最初に練習する
『一本線』を書いてもらうもの
だったのですが、途中から漢字を
書きたい人が現れ、解禁に。
そこで、皆さんの書きたい文字で
やはり『愛』が多いのですね。
しかし、甲骨文字の世界では
私たちが感じる『愛』の概念が違い
それを表すひと文字は今の所
見つからないのです。
白川静説では『㤅(アイ)』が
愛と同義としていますが、その
甲骨文字は杖をつき後ろを振り返り
過去に心を残し足取り重く歩く姿。
この説明をすると大抵の方が
『No, tha't not what I meant...』
(それは言いたいことと違う)
となります。日本の方々も同じく。
宇宙的な愛を表す文字は
自然界の様々な事象を表す文字だったり
人間的な温かな愛情は
子供を背負う母の姿である『保』や
赤ちゃんを身ごもり手を添える姿の『身』
に現れているなと感じます。
甲骨文字が誕生し、文字として
進化していく中で、時間の概念も
生まれたと安田登さんの、著書
『あわいの時間』で読んだことがあり
昨日まで、そこにいた人がいなくなった
ということから時が刻まれていることを
認識し始めたのではないかと。
同時にいのちの尊さについてもこの
時間の概念が生まれたあたりから
重きを置かれるようになったのかなと
勝手に解釈しています。
生贄が最高の神様へのギフトだった頃。
この『㤅(アイ)』は捧げられたものへの
哀悼が生まれ始めた証と言えるのかも。
ということで、『愛』を書きたい
海外の方には、現代漢字しか無いと
お手本を書くと
『Oh, that's just too complecated!』
(あら、これは難しすぎ!)
となり、シンプルな文字になるのでした。
そう、『愛』はなかなか手強いのです。
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