2023年のたられば
人生には、たくさんの「たられば」がある。
今年も数え切れないほど考え、選択し、「もし別の選択肢をとっていたら…」と考えた。
今年いちばんの「たられば」は「L'orchestre de femme fatalにエントリーしてなかったら」。
L'orchestre de femme fatal、通称の「強い女オケ」。指揮者、奏者が全員女性で、各々の「いちばん輝ける姿」で演奏するといういわばコンセプトオケ。今年12月に開催した第3回公演をもって解散したオーケストラである。
わたしは2公演あった第3回公演のうち、関東公演に参加した。
最初はエントリーしても通らないと思っていた。惑星でそれなりにトランペットの人数は必要とはいえ、アマオケが300あるとも言われる東京。首都圏まで広げたら女性トランペット奏者だってたくさんいるだろう。こんな楽しそうなオーケストラ、歴戦の猛者がエントリーしていたら、並の奏者のわたしは通らないだろうなぁ。
そう思いつつもエントリーしたのは「強くなりたい人」という参加条件に惹かれたから。
「エントリーしなかったら」きっと後悔する。
これが1つ目の「たられば」。
「エントリーが通らなかったら」。
2つ目の「たられば」。
想像でしかないけど、今ほど楽しく過ごせてはいなかったかもしれない。
公演を終えただけじゃない、そこにたどり着くまでの過程があるからこその納得感、達成感。
音楽活動をやるにはそれなりに時間もお金もかかる。わたしの場合はおちび(2歳、超ママっ子で抱っこ大好きマン)との時間を削ってまでやるのか?という自問自答がずっとあった。さらに参加決定後、おちびのイヤイヤがしんどくて、仕事の責任を期中で投げ出した。なのに趣味でどうして責任が負えるのか?いっそ参加辞退した方がいいんじゃ?ということもずっと考えていた。
でも、辞めたくなかったし、辞めなかった。途中で辞めて、誰かが惑星1stをやっている強い女オケを見たくなかった。
トランペット吹きならきっと持っているだろう意地とプライド。わたしにももちろんそれがあるし、だからこそやり切れた。
本番の演奏にキズがなかったわけではない、しかしその日できるわたしなりの演奏ができたと思っているからすっきりしている。もちろんひとりではできなかったので、協力してがんばってくれた夫とおちびにはとても感謝している。
「メンバーが変わらなければ」
3つ目の「たられば」。
直前に諸事情で参加できなくなったメンバーに代わり、関西メンバーがピンチヒッターとして当日参加してくれた。
元々のメンバーでやれていれば、はじめましてのメンバーだったけどみんなでやり切れてよかった、で大団円だったのかもしれないし、わたしもそれを望んでいた。
でもそうしたら、“関西公演のことは同じ団体だけど遠いところで行われている演奏会”くらいの認識で終わっていたと思う。
たった1日、時間にして数時間だけでも関西メンバーと一緒に演奏してみて、一気に身近な人が関わる、応援したい演奏会になった。
一緒に演奏したら、その仲間たちがどんな音楽を作っていくのかが気になって仕方なくなった。
だから、関西公演に行くことにした。
京都の会場までだいたい3時間半。日帰りで。
プログラムの半分は頭に染み込んでいる曲。夢中になって聴いていた。華やかな舞台に見惚れてもいた。
東京と京都、離れているけども、わたしもこの中にいたのか、と思うと不思議な気持ちで泣きそうだった。東西公演で演奏のカラーが全く違っていて、どちらも音楽で個性なんだ、とすんなり思えた。
最後の「たられば」、「関西公演を聴きに行かなかったら」。
ここで生まれた感情、考え方、繋がりをこれからも大切にしたい。
そして「たられば」はこれからもどんどん増えて続いていくけど、できるだけ後悔しない選択をしていきたい。
※「2023年の振り返り」なのに強い女オケの話だけになってしまったのは、エントリーから本番まで8ヶ月の壮大かつ、大切な思い出ができたプロジェクトだからとご理解いただきたく。
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