次は、私がみんなに会いに行く番たい。
傘寿の祝いを過ぎてすぐ、祖母は自転車事故で足を骨折した。30年間休んだ事がないラジオ体操も、初めて休み、入院したことがないという記録もなくしてしまった。トイレも一人で行けない、ベットに横になるだけの日々。祖母は日に日に無口になった。
祖母の怪我を聞きつけた友人達が、佐賀や長崎や大分や熊本や山口から、福岡へ駆けつけた。
お見舞いの人が絶えず、お礼の手紙を祖母が毎日書くものだから、看護師たちの間では、有名な小説家に違いない、という噂がたつほどだった。
祖母はお見舞いの人が来る度、感謝で落涙し、そして日に日に饒舌になった。色々な友達が杖をつき遠くから会いに来てくれる。どうやらその事がとても嬉しく、有り難かったらしい。
最初は元気をなくしたものの、祖母にとっては傘寿よりも、入院の方が、色節の出来事だったのかもしれない。
もしサポートして頂けた暁には、 幸せな酒を買ってあなたの幸せを願って幸せに酒を飲みます。