野良猫が、季節をつれてくる。
数年前の夏。
野良猫が、開け放っていた玄関から家に入ってきて、ばたんと倒れ、廊下で眠りました。ひんやりしていて気持ちよかったのでしょう。
猫を飼っている覚えのない僕は、家の廊下で寝ている見知らぬ猫をしげしげと眺め、やがてつぶやきました。
まあ、いいや、と。
この猫を、野良猫ぴーすと名付けると、ぴーすはスタンプラリーの如く、我が家を訪ねてくるようになりました。
でも、ぴーすは、通り過ぎる日もあります。たまに心のスタンプラリーを忘れてしまうのです。
通り過ぎゆくぴーすを見つけると、僕は窓から“ぴーす”と呼びます。
するとぴーすは、にゃんにゃぁと僕の目を見てつぶやいて、そのまま通り過ぎるときもありますし(!)、ご丁寧に挨拶に立ち寄ってくださる日もあります。なにせ、猫にとってはとても忙しい日も、どうやらあるみたいなのです。
秋。
ひなたぼっこが気持ち良い季節です。
家の裏の公園で本を読んでいると、誰かに声をかけられました。振り返ると、ぴーすでした。
なんにゃ!
と、声をかけられましたが、日本語に置き換えると「まあ、こんなところで!(偶然ですね)」というような意味合いでしょうか。
彼女はテーブルに乗ってきて、ひなたぼっこを始めました。
冬。
ぬにゃあ。
夜の窓の外、ぴーすの声がします。
窓を開けます。
そしてぴーすは、ソファや、
炬燵で眠り、
田んぼを散策し、
この↓↓↓あたり
道路に落ちたり、
僕の言葉にショックを受けたり、
そして日々の心のスタンプラリーに大忙し。
次、ぴーすは春を連れてやってきます。
今年の春はどんな春になるのでしょうか。
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