出産がんばって
フードバンクという事業のお手伝いに行くようになってから3ヶ月。
フードバンクは企業や家庭で余ってしまいそうな食品を集める場所。そしてそれを生活に困っている家庭や施設などに配布する事業。
この2週間はつぶやきが進まない。報告したいことはたくさんあるのに指がキーボードを触るとそのままじっと考えてしまう。
おとといの水曜日もフードバンクだった。
私より5歳くらい若いペルーの方が来た。4人の子どもがいて5人目がお腹にいるそうだ。ぷっくりしたお腹は赤ちゃんだったのか。ご主人の仕事が不安定な上に今は自分が働けないので生活が大変だそう。
フードバンクの場所がわからなくて有料駐車場に車を停めて来たと言うので、そこまで一緒に食品を運んだ。子どもさんは元気?小学校はどう?パパは体調も不安定なの?などと話しながら5分ほど歩いた。彼女は「ごめんね」「ありがとう」を何度か言った。私は「ううん。来てくれて良かったのよ」と何度か言った。
1999年に日本に来てからブラジルの男性と知り合い日本にずっと住んでいるそう。いいも悪いも世紀末として盛り上がった1999年。私は長男を出産した年だ。自分の若い頃を思い出すと同時に、彼女がに日本に来て新たな生活を始めた姿を想像しながら歩を進める。
「日本は住みやすい?大丈夫?」と聞くと「安心、安全」と言った。そうだね。住んでいるのは外国の方も多く住む地域でコミュニティもあるようだ。孤立はしていないみたい。寂しいことも少ないかな。ちょっと安心した。
何年か前から大手運送会社の倉庫で仕分けの仕事をしているそう。外国人も多くて楽しい。けれど出産の前後はどうしたって仕事にはいけないから、産んだらまた復帰すると言う。
旦那さんが車を運転できないので赤ちゃんの病院も日々の用事も自分が運転するという。来月初旬が予定日で、小さな子どもが4人いるというのに、今日はフードバンクに来なければと思って運転してきたのだ。
もしかしたら出産は少しの休息にもなるのかもしれない。
そんなことも思った。
「とにかく赤ちゃんが産まれてくる。ハッピーだね」と言うと、「うんハッピー」と言って2人で笑った。
瞳が綺麗で優しい彼女は車につくと「ありがとう」とまた言った。息が少し上がって、お腹がパン!と張ったように見えた。私も4人を出産したから、ツーンと股のところが痛くなって赤ちゃんが下がっているようなお腹の張りを思い出してしまった。
「大丈夫?」
「だいじょうぶ」
「休んでから運転してね」
彼女は
「たいへん」
と笑って車を開けた。
私は「今度いつ会えるかな?生まないともう来られないね。元気な子を産んでね」とお腹を触らせて貰った。
「また来てね。報告してね。」
彼女は「帰り道大丈夫?」と私に聞いた。
方向音痴なのがわかったのかな?
「迷子になるかも」と言ったら彼女は笑った。
私には最近一言では済ませられない感情が多くて。
つぶやきが書けない。
出産がんばってね。