「LOOPERS」感想・後編(1)
という訳でLOOPERSの感想、後編となります。
前編をご覧になってない方はこちらから先に見ていただけると嬉しいです。
前編、後編含めてネタバレになりますので閲覧は自己責任でお願いいたします。
後編は主人公のタイラとヒロインのミアの話になります。
『LOOPERS』は前半こそ仲間たちとの宝探しがメインのストーリーになっていますが、後半にいくにつれタイラとミアの切ない恋愛劇になっていきます。
こちらも目次分けします。
プロローグのミア
プロローグは絵本の一節のようなものから始まります。
当たり前に「これ伏線だな」って感じです。
事実めちゃくちゃ伏線だったので後編に持ってきました。
その後、病室の中で母親の見舞いにきた少年(幼少期のタイラ)と入院中の少女(幼少期のミア)が出会います。ここではタイラの名前もミアの名前も出てきませんが主人公とヒロインであることは大体の人が察せると思うので、後の出会いの前に過去で既に出会っていることはすぐ分かります。
退屈そうにしていた少女ミアに対して「宝探しをしよう!」と少年タイラが話しかけ、自身の持っていた恐竜消しゴムを病室のベッドのどこかに隠します。わずか15秒の宝探しでしたが、その時間はとても心地よく、楽しいと感じます。
そのうち少年のタイラは帰る時間になりますが、寂しそうにする少女のミアを見かねて、自身の宝物である恐竜消しゴムを譲ります。
ここからは絵本の一節通り、元気になったら誰かに譲ってくれ、人の手を渡る度に魔法の力が溜まっていつか願いを叶えてくれるからと言って別れるのでした。
現在軸のミア
タイラやヒルダよりも以前に「時の渦」に呑まれ、永遠をループしている中学2年生の女の子。サイモンと同様、時の渦に呑まれてから10年以上経過しているほぼ最古参でもあります。
ルーパーズメンバーの中では最も幼いのに過ごした年月は最も長く、そのせいか感情の起伏も少なく落ち着いたどことなく「諦観」しているような雰囲気があるミア。
タイラ達が「時の渦」に呑まれた際、ルーパーズのメンバーから「ここは毎日がループしてリセットするから、お金も使い放題だし死んでも生き返る。翌朝には何も残せない代わりに時の渦ならではの楽しみ方もできる」と説明され心を弾ませながら豪遊の限りを尽くします。
サイモンはタイラ達がこの世界の性質を知り、馴染めるようになるまでミアにお目付け役を頼みます。
お金を使ってゲームを買ったり服を買ったり高級店の料理を食べ尽くしたり、旅行をしたり。タイラはミアも一緒に楽しもうと様々なことに誘いますが、ミアはどれも「ずっと昔に飽きるほどやったからいい」と言います。
この世界に長年囚われて、何もかもをやり尽くして、感覚が麻痺してからもう心から楽しいと感じるものは無くなってしまったんだと話すミアに対してタイラは「本当にもう何もないのか?」と問いかけ「だったら次は宝探しをしよう!」と持ちかけます。
「お金で買える楽しさとは違う、別次元の楽しさを教えてやる!」と。
初めは困惑していたミアですが、いざ宝探しをすれば持ち前の負けず嫌いも相まって無邪気に楽しみます。
このシーン、今までは見せなかった笑顔やはしゃぎ方などミアの素直な可愛さが全面に出てて超可愛い。
観覧車越しの花火という美しい景色(宝)を見つけ、タイラの「宝探しは楽しかったか?」という質問にミアは久しく心から「楽しかった…!」と言うのでした。
時の渦の中でこんなにも長い時間を過ごして、何もかもに飽きてしまったと思っていたのに。お金では買えない喜びに触れて、失っていた気持ちを取り戻したんです。
宝探しってすごいなぁ…。
余談ですがここから先の話が課金になります。
(ちなみに時系列としてはこのシーンはまだレオナが目を覚ます前です)
ミアとタイラの宝探し
ここから暫くはミアとタイラの甘酸っぱいイチャイチャが見られます、幸福〜……。
以前のミアのようにこの世の全てに飽きてしまい、心から楽しむことを忘れてしまったルーパーズのメンバー達をそれぞれの「宝探し」で元気づけることに成功し、好きだったことを思い出して本格的始動するルーパーズ。
そして、サイモンの奮闘もありついに「時の渦」の終わりが観測できました。それも近いうちに終わると。
だいぶ端折ってますが、ここまでも結構スピーディに進んでいきます。その間は専ら宝探し。
長いようで短いような「時の渦」での日々を懐かしみながらミアの宝探しをするタイラ。一応これでもヒルダとレオナのストーリーで100日以上は経過していることが分かります。
そこで、
探し女の幻影を見ます。
何より、タイラは探し女の幻影を見て「なんとなくミアに似ている」と言います。
過去にサイモンからこういった話もあり、ここで探し女=ミアの未来と私の中で確信しました。過去というのはちょっと考えづらいので……。
「探さなきゃ、謝らなきゃ、あなたが正しかった」
恐らくミアは近い未来である「時の渦」の脱出の際に何かを間違えて、タイラが正しかったと後悔するんだろうな、と予想しましたが結果的には大体合ってました。
この時点で探さなきゃ、はよく分かりませんでしたが…。
最後の花火
その後、日が暮れてミアの作った宝探しも終わりに近づいてきた頃。観覧車に乗れという宝探しの地図の指示通りに乗って、最後の地図を見ると────。
それは今日の宝探しの最初の目的地を指していました。
ぐるぐると回り続けるだけの地図。
可愛い……。
終わらない宝探しをしたいってことよね……。
今までのあたふたするイチャイチャシーンも好きですが、この観覧車での明確な好意を伝えるシーンも最高です。
ロマンチックな告白!流石にキュンキュンします…!
このシーン、ものすごくキュンキュンするんですけど後の結末を知ってるとものすごく切ないです……。
「私は……タイラとずっと一緒にいて、ずっと一緒に、宝探しをしていたいです」
「ああ、俺もだぜ!一緒に、世界中に宝探しの冒険に出掛けようぜ!」
「はい。……ぜひ、そうしましょう」
このとき、タイラはミアの告白に対して答えられませんでした(ミアが切り上げた)。
ラストシーン、ミアが涙を流した理由をまだ「振られたと勘違いしたとか?」と呑気に考えてました。私バカだ…。
「時の渦」脱出の時
観覧車での一件があった翌日、ついに「時の渦」から脱出するためのゲートが開きました。
ついに終わりを迎えるこのループに意外にも寂しさを感じるタイラ。まだ猶予はあるということで集合時間の夜までは街をぶらぶらしながら「やり残したこと」はないかと考え、一つのやり残しを消化するために観覧車へ向かいました。
このやり残したこととしてタイラが最後にした行動が後ほど極めて重要な意味を持つのですが、この時点でタイラは結末を知らないし、誰かに見せるつもりでもなくただの思い出としてやったことだと思います。
最後にルーパーズの皆と「元の世界に戻っても私たちは仲間だ」と約束したりミアのタイラへの気持ちを応援したりしながらゲートをくぐる時間になりました。
不安や緊張を感じながらもゲートをくぐっていく仲間。
最後にはミアと、未だ昏倒したままのカイを車椅子に乗せて押すタイラ。
ああ、いよいよkey作品だなって感じでした。
「わたしにはその先に未来はありません」という言葉。
幼少期のミアが「入院」していたこと。
この時点で大体の話が繋がったと同時に結末がなんとなく見えてしまって泣きそうになりました。
何を言っても揺るごうとしないミアにタイラは困惑と焦りを滲ませながらも説得を止めません。そんな事をしている内にもゲートは段々と狭まっていく。
タイラはミアが行かないのなら自分も留まるつもりだと心から思っていましたが、タイラには昏倒しているとはいえルーパーズの仲間であるカイを元の世界へ戻す義務がありました。行く他にどうしようもなかった。
その場から走り去っていくミアの名前を叫びながら、消えかけのゲートを後悔を残しながらくぐるのでした。
ミアの秘密
ミアが独りで「時の渦」に残るという選択にルーパーズの一同が強いショックを受けます。タイラの様子からミア自身に余程の事情があったのだと察する中で、車椅子からそっと忍び込ませてあったミアからの手紙が見つかります。
ここにきてようやくミアの詳細が語られました。
幼い頃から「クライネ・レヴィン症候群」という病を患っていたこと。それによって定期的に長い昏睡状態に陥り入退院を繰り返していたこと。もうステージ3の末期であり、このままでは永遠に眠り続けてしまうこと。残された希望は成功例がほとんどない手術を受けるしかないこと。
ミアはこの手術をしたくなかった。
ミアはこの手術の成功を信じられなかった。
だから、ずっと元気でいられる今日を願ったこと。
「時の渦」を作り出した張本人はミアだということ。
余談ですが「クライネ・レビン症候群」とは実在する難病です。とはいえ実際のクライネ・レビン症候群は治療法こそ確立されていないものの永遠に眠り続けるという訳ではなく、経過と共に自然と治ることがあるとか。不思議…。
しかし、現実のミアの容態を見に行ったタイラとヒルダが耳にしたのは「手術は成功したが昏睡状態のまま」という言葉。
残酷すぎて、本当に胸が苦しくなりました。
皮肉にもミアが信じられなかった手術が成功したのに、「時の渦」にとどまった結果昏睡状態から覚めなかった。もしも、ミアが手術が成功した未来を信じてゲートをくぐっていたら助かっていたかもしれないという事実。
ここから「時の渦」に残ったミア視点とミアを救う為のルーパーズ視点が切り替わりながら話が進みます。
前編と後編で書き切ろうと思いましたが想像より長引きそうなので後編はこれともう一つに分割して書こうと思います、すみません…(笑)
それでは次は『LOOPERS』感想・後編(2)で。
お読みいただきありがとうございました。