「LOOPERS」感想・前編
以前の「Summer Pockets」から続いて、私にとって2番目のKey作品になりました。最近はずっとKey作品を求めているなぁって感じがします、サマポケから大好きになってしまった…。
このLOOPERSは「キネティックノベル」という形態をとっており、簡単に言えば「選択肢という要素を極力減らした小説みたいなゲーム」です。(たぶん)
実際に本作も一切ストーリーに選択肢はなく完全な読み物になっています。
今回もスマホ版で。
ストーリーの全開放には1,200円かかりました。
そこまで長い読み物ではないので割高に感じるかもしれませんが、私は相応の満足を得られたと思ってます。シナリオは『ひぐらしのなく頃に』で有名な「竜騎士07」さんという事もありホラーミステリー強めの作品かなと思いましたが、どちらかというとKey作品らしい「泣き」の要素が押し出されていました。
話の構成的に今回は二部に分けて書きます。
今回はヒルダとレオナの話まで。
ネタバレ含め語っていきたいと思いますので、閲覧は自己責任でお願いいたします。
(加えて語彙力が死んでるので駄文になってしまうと思います、本当に個人的なお気持ちnoteなのでご了承下さい)
それでも良ければお付き合いください!
あらすじ
タイラという主人公について
とても明るく快活であり周囲の人間を巻き込みながら歩んでいく一昔前の熱血バカって感じのタイラが個人的には良かったなぁと思います。
タイラという主人公の存在がルーパーズ全体を救い、見る側の私たちにとっても後味の悪さが残らない清涼剤になっていたかなと思います。挫けることなく、諦めることなく、ひたすらポジティブに生きるタイラの性格は人によって苦手かもしれませんが私は大好きでした。
ミアちゃんが惹かれる気持ち、よく分かるよ……。
ここからはちょっと目次分けしますね。
本作のミステリー要素「探し女」
街に伝わる都市伝説「探し女」。
自分の心臓を探して彷徨う亡霊のようなもので、いわく一緒に心臓を探してあげないと呪われるとか祟られるとか。
よくある都市伝説です。
最初に探し女に出会ったヒルダの前では「探さなきゃ…探さなきゃ…」と言い、目の前で消えてしまいます。
その後、時の渦に飲み込まれ錯乱状態のヒルダに少しだけ姿を見せるだけで(ヒルダは探し女に邂逅した際そのまま逃げたのでこれを探し女の呪いだと思っていた)終盤辺りまで特に何も語られません。
タイラは見かけた際に「探さなきゃ、謝らなきゃ、あなたが正しかった」と呟く探し女さんに対して「お前の探し物を、俺も一緒に探してやれたらいいのに」と恐怖より哀れみを感じます。
この時点で大半の人は「悪いものではないな」と感じると思われますがその正体は後ほど。
ルーパーズリーダーのサイモン
本作のチートキャラみたいもの。物語を円滑に進めるためにどうしようもなさそうなことや不都合なことをどうにかする重要なキャラクター。かなり胡散臭い見た目してるなぁと思いましたがサイモン自身は天才的な記憶力や頭脳を持つだけで黒幕とかそういうものではないです。
メインキャラではないのですがストーリーに絡む居なくてはならないキャラクターなので先にちょっとだけ紹介しておくべきかなと思いました。
この夏のループを15年以上繰り返しており時の渦からの脱出方法を探し続けている大学生。
記憶以外を持ち越せない時の渦ではメモも履歴も一切残りません。その中で原因を探るには記憶を忘れない必要があります。それがサイモンの役割であり、彼は現実で言うところの超記憶症候群(ハイパーサイメシア)です。
その頭脳と記憶力を活かしてルーパーズをサポートしてくれます。本当にありがたい…。
サイモンの他にも以前から「時の渦」に囚われている人達がいます。右からホリー、リタポン、ミア、サイモン、ジョウが「ルーパーズ」の仲間たちです。
(立ち絵はありませんがクロとカイという二人もいます、訳あって昏睡のまま目を覚ましてません)
ミアは様々なことに関わるキャラクターなのでともかく、ホリーとリタポンとジョウについて少しだけ。
ホリーは「ホーリーナイトチャンネル」という名前で活動する登録者100万人越えの人気インフルエンサー。
リタポンは「ミラクルエナジー☆リタポンD」のペンネームで活動している人気イラストレーター兼漫画家で重度の厨二病患者。
ジョウは筋トレ趣味の筋肉バカ。性格はタイラに近いムードメーカー。
この三人はミアやサイモンほど主要になってくるキャラクターではありませんが、各々がループする毎日に退屈しており、精神を病みかけていたところをタイラの「宝探し」で救われています。
このシーンはタイラというキャラクターが熱血バカなだけでなく、他人の観察眼に優れ機転の利く人間であることをよく表していました。
ヒルダとレオナ
本作はタイラとミア(タイトル画面中心の女の子)の二人が中心に織り成すボーイ・ミーツ・ガールではありますが、彼女たちのストーリーも見どころかなと思います。
構成的にヒルダとレオナの話が一章、タイラとミアの話が二章といった感じ。
レオナは優等生だったが親からの期待と重圧による勉強漬けの日々でした。いつも、いつも、幼い頃から。
小学生時代にヒルダという友人はいても、それも勉強漬けの日々から疎遠になってしまった。
遊ぶこともできないまま、それだけを競わされた。
その無理が祟ったのか、受験は全落ちしてしまいます。
親に教えられてきた「意味」を見失ってしまったレオナ。
生きることに絶望し、精神的に限界を迎えたレオナはヒルダに泣きながら「会いに来てほしい」と電話をかけた上で自殺未遂をしてしまいます。
ここ、本当に胸が苦しくなりました。
「助けて」って気持ちと「死にたい」って気持ちが混ざりあって、どうしようもなくって、限界で……。
矛盾じゃないんですよね、これは。
もう「逃げ出したかった」んです。
ここじゃないどこかは死でも良かった。
それを見たヒルダは絶叫して止めます。難しいことを考えるのが苦手だけど根は真面目なヒルダらしい行動だなと思います、レオナの傍にいるのがヒルダで良かった……。
家に居場所を失ったレオナの新たな居場所がヒルダの隣になりました。それ以来はずっと一緒だったんです。
だからこそ、永遠に同じ日々をループし続ける「時の渦」の中でヒルダの居ない中(レオナはヒルダよりも5年前に時の渦に巻きこまれていた)精神を病んでいき長い眠りについてしまったレオナに対してヒルダが慟哭するこのシーンは泣きそうになりました。
(昏睡の原因は他にもありますが、このループ世界で精神を病むと昏睡します。また、このループから抜ける際に昏睡者は目を覚ますまで何年もかかる)
このままではヒルダも心を病み、昏睡に入ってしまうと考えたサイモンはレオナとの関わりをやめるように提案しますが……。
しかし、タイラの「レオナの為に、最後にもう一度大好きだって気持ちに応えてやろう」という行動(まぁ宝探しなんですけど)が結果的にレオナを昏睡から目覚めさせることに成功します。
(このあたり、後にタイラとミアのストーリーがあるからか結構ハイスピードで進んでいくので細かく語るほど無いんですよね……)
ここからはルーパーズのメンバー達で本格的に「時の渦」から脱出する方法を探っていきます。
前編まとめ
この『LOOPERS』というゲームにある「本当の宝物を探しに行こう」というテーマは後半で書くタイラとミアのお話がメインだと思われますが、ここまでの話でもしっかり描かれている気がします。
タイラと関わることで「本当に好きだったこと」を思い出して活気を取り戻していくルーパーズの仲間たち。
皆、生きていく中で見失って忘れてしまっていたものを「宝探し」を通じて見つけるんです、「宝物」を見つけるために、必死になって楽しんでいました。
『LOOPERS』で語られる「宝探し」って現実に反映して考えるなら生きる意味を見つける人生そのものじゃないかと思います。「宝物」は生きる意味そのもの。つまり好きなもの。なんとなく、希望を持ってこの先の未来を歩んでほしいって事なのかなと感じました。宝物(好きなこと)を見つけたその瞬間の喜びを、そのときの人生の煌めきを大切にして欲しいんだと。
あくまでも私の感覚でしかありませんので、この作品で何を感じるかはそれぞれかと思います。
とりあえず前半にまとめを詰めすぎるのも良くないのでこの辺で終わります!後半も見ていただけたら嬉しいです!