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奥ゆかしくやさしいバリ人【#2】

無事バリ島の空港に着いたわたしは迎えの車を待っていた。

サインボードを持って出迎えるたくさんのドライバーたち。どんどんマッチングしていく人たちを見ながら 10分、20分、30分経ち、、、

アプリにはドライバーの位置が表示されるのだけどずっと位置が変わらない。

到着予定時刻もバグってる(現地時間19:27)

待っている間、人相の悪いタクシーの運転手が「ハロー、タクシー?」と声をかけてくる。

人相の悪いタクシーは絶対パスだけど、もう空港で新たにタクシーを手配した方がはやいのでは、という考えも浮かんだ。

しかし手配していたタクシー代はアプリを通して事前に決済されており、新たにタクシーを頼んで料金が2倍になるのもなんだか悔しかった。

そんなこんなで精神統一すること1時間弱。アプリにやっと動きが!

あこがれのサインボード

ドライバーが到着したのである。

「すみません!ワッツアップで連絡したのですが。。もしかしてはやく着いてましたか?」

まさかの流暢な日本語。遅れた理由はおそらくちゃんとフライトの遅れを確認していたことと、渋滞。

わたしは待たされたことよりも出会えたよろこびで胸いっぱい。

それからデンパサール中心地のホテルまで約1時間。

わたしにとっては初めてのバリ人であるドライバーのグデさんと日本語であれこれ会話した。

グデさんは小さい会社で観光客向けのドライバーをしていて、以前は日本人のお客さんがとても多かった時代があり、学校で日本語を勉強したと言う。

しかしいま、日本からの観光客は減っているみたい。

グデさんに翌日の予定を聞かれたので、ウブドに行くと伝えるともし移動手段が必要であればホテルまで迎えに行くので連絡してね。と連絡先を渡された。

押しが弱く、とても控えめな営業。物腰もやわらかく、圧も全くない。

あーなんかバリ人って日本人に似てるなぁ、と思った。

わたしが「もし必要だったら連絡するね」と言ったあとは、バリのあれこれを教えてくれたりしてもう営業の話はしなかった。

虫除けの匂いの部屋

宿に到着したのは21時過ぎ。

最初の宿はBooking.comで評価の高かった1泊2,000円ほどの家族経営の安い宿。

緑いっぱいの写真に惹かれて予約したけど、あたりはもう真っ暗で何も見えなかった。

宿に着くと暗闇から上半身裸のおじさんがむっくり起き上がって部屋に案内してくれた。

部屋は広くエアコンやテレビもあり、とてもきれいだったけど、バスルームに強烈な匂いの虫除けが置いてあり、部屋中につんとする虫除けの匂いが充満していた。

あーアジアに来たな。と思った。

早朝に成田のホテルを出てからの長い1日がようやく終わる。強烈な虫除けの香りのなか、気づけば眠りについていた。

激辛モーニング

バリの宿は朝食がついていることがほとんどだけど、この宿はついていなかった。

部屋の外に出ると、ちょうど宿のおじさんが「コーヒーか紅茶飲む?」と聞きに来た。

朝ごはんを食べに出かけようとしていたわたしは返答に迷っていたら「あ、いいんだ、もし必要ならと思って声をかけただけだから。気にしないで」となぜかすまなそうに言った。

今まで行ったことのある国ではそうやって相手の迷惑にならないように、とか相手が気を使わないように、とか相手の心情を思いやるようなそういう態度をほとんど見たことがなかったのでおどろいた。

昨日のグデさんといい、バリ人にはどこか日本人のような奥ゆかしさを感じる。

物腰がやわらかいからこちらも変に主張したりする必要がなく、そのままでいられる。これは楽だー。

さて、朝ごはん。少し歩くと地元の人たちが集う一角があった。

出勤前の腹ごしらえかな?

英語が通じず、なんとなくパッケージされているお弁当みたいなものを指さして食べてみる。

激辛弁当

か、辛い、、、!!!激辛チキンと豆腐にご飯。汗が出てくるほどの辛さ。

もちろん赤い袋に入っているのは激辛確定なので手をつけていない。

食道や胃の中がお祭り騒ぎになっている。これはぜったいに朝から食べるものじゃない。口をスーハーしながら甘いコーヒーでごまかしながら食べた。(ちょっと残した)

そっかこの島の人は辛いものが好きなんだ。

これ以来、ごはんを頼む時は辛くないかを聞くようになり、わたしのバリレベルは1上がった。

ウブドへ

ウブドに行くこと以外、ほぼ何も決めていない旅だった。
ウブドは少し山の方にあって、自然豊かでアートの街であるらしい。

ウブドへはgrabという配車アプリでタクシーを呼んで向かった。はじめて使ったけどとても便利。

正規の値段でぼったくられることがないし、クレジット決済なのでおつりのやりとりもない。呼べばすぐに来てくれてなんのストレスもなく目的地へ行ける。

来てくれたドライバーは年頃の青年だった。

最初わたしに気を遣ったのか、ガムランの古典的な「いわゆるバリですよ〜」っていう音楽をかけてくれていたんだけど、途中で飽きたみたいでブチっていきなりロックっぽい音楽になった。

そして歌った。

そして途中でトイレに行きたいと言ってコンビニに寄ると、ポテトチップスを買ってきた。それからはポテチをぼりぼり食べながらの運転。

とてもいいとおもった。最高の仕事じゃん、とおもった。

自分のままでいろんなところに行けていろんな国の人と話せて。運転が好きだったらね。

そんなこんなで1時間。ウブドに着いた。

商店

ドライバーの青年にテレマカシー(ありがとう)バイバーイというと、サマサマー(どういたしまして)バイバーイと笑顔で言った。

さぁ、どんな街なのでしょう。まだバリの右も左もわからない。

ウブドにはしばらく滞在してみるつもり。

>>【#3】へつづく

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