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学校が子どもにとって安心できる「居場所」であることを目指して

こんにちは、ぴいすです。

みなさんは、学校とはどんな場所だと考えていますか。

 

・勉強をする場所
・人間関係を形成する場所
・いろんな体験・経験をする場所
 

様々な意見があると思います。

僕は学校とは子どもにとって安心できる「居場所」として存在すべきだと思います。 

どうしてそう考えているのか。

それは小学校勤務時代に担任した、Kくんとの原体験が基になっています。 

その体験を語りたいと思います。

   

1.不登校傾向だったAくんとの出会い
 

当時、6年生を担任していた僕のクラスにAくんはいました。

その6年生には持ち上がりではなく飛び入りで所属することになった僕。

Aくんの申し送りには「不登校傾向」と書かれていました。

 

担任して最初の4月は毎日登校していました。

しかし、5月からは月に1、2回ほど休むことが増えてきました。

 

家族構成を見ると、父、Aくん、そして妹の3人で生活していることがわかりました。

Aくんが休む日はお父さんから連絡がある日がほとんどでしたが、たまに連絡もなく遅刻して登校してくる日もありました。

 

2.放課後、黒板を消してくれるAくん
 

そんなAくんでしたが、学校に登校できた日には楽しく生活していました。

Aくんは説明が得意でした。

特に国語の授業では自分の意見を子どもながらも論理立てて話す姿があり、他の友達からも「わかりやすい」と言われるほどでした。

 

そんな彼が必ずやってくれる仕事がありました。

それは放課後の黒板消しです。

僕は放課後に黒板をきれいに消すことを日課としていました。

これは授業で最も使う場所として、いつもきれいに保とうという心がけで続けており、今も変わらず行っています。

 

そんな僕の姿を見た彼は、ある日の放課後「先生、僕がやりますよ」と言ってやってくれました。

そこから、彼と僕との黒板消し生活が始まりました。

僕は放課後、彼といっしょに黒板を消しながらいろいろな話をするようになりました。

 

・趣味や好きなことはなにか。
・どんな生活をしているのか。
・お父さんの仕事はいつが遅いのか。
・遅いときはご飯をどうしているのか。
・将来の夢はなにか。
・どんなことが得意で、どんなことが苦手なのか。
 

今となっては忘れてしまったこともありますが、たくさん話した覚えだけはあります。


Aくんはゲームが趣味でした。

当時持っていたPS3のオンラインで仲間もつくってゲームをすることが彼にとっての楽しみでした。 

また、Aくんはアニメも好きでした。

僕が好きなガンダムの話をすると「知ってますよ」といっしょに話をしてくれました。

 

時々、他のクラスの先生が顔を見せ

「Aくん、なにか悪いことでもしたの」

「違いますよ、進んでやっているんです」

と冗談を話して笑顔になることもありました。

僕は彼が自分のことをたくさん話してくれることを嬉しく感じていました。

 

今まで寂しい思いを感じたこともあったであろうAくん。

そんなAくんにとって楽しいと思える時間を過ごせているのではないだろうか。

ゲームやアニメに没頭するだけでない、時間を。

 

彼にとって、この学校、教室が少しでも居心地が良い場所だと感じてもらえれば、きっと学校に来る日も増えるだろう。

そう思っていました。

 

3.突然の消息不明
 

ある日、Aくんが欠席しました。

休むことは今までもあったのですが、その日はいつもと違いました。

 

欠席のときは父親が必ず連絡をしたり、同じ学校にいる妹が知らせたりしてくれるのです。しかし、その日は何も連絡がありませんでした。

 

妹に事情を聞いてみると「家は出た」とのこと。

父親に連絡してみても「朝は家を出たことを見ている」と答えました。

 

僕は焦りました。家族が家を出ていることを見ているのに、学校に来ていない。なにか事故に巻き込まれたのではないか。大丈夫なのか。

 

空き時間には車を出し、Aくんの家までいきました。

しかし彼はいません。

 

一体どこへ行ったのか。

分からないまま、学校へ戻りました。

 

給食が始まる前、1人の男の子が昇降口へ現れました。

Aくんでした。

 

彼は「公園で少し時間を過ごしていて・・・遅れました」

と言いました。

 私はそんな彼に対して本当に心配したこと、たくさん探したことを伝えました。

 彼は驚いた顔をしていました。僕が声を荒げて話したからでしょう。 


Aくんは「すいません・・・」と答えました。

 

「本当に、無事でよかった・・・」

 

私の心からの言葉を最後に投げかけました。

 

4.それからのAくん
 

さて、感動的な話であればその後、

『Aくんは登校する日が増えました』

とでも語るのでしょう。

 

残念ながら現実はそう簡単にはいかないものです。

Aくんはその後も休んだり、遅刻したりすることが相変わらず多かったです。


しかし、連絡がないという日はありませんでした。

 

彼の黒板消しは卒業まで続きました。 

他人からみれば、僕がしたことはたいしたことではありません。


ただ放課後にAくんの話を聞いただけ。

たったそれだけなのです。

 

でも、それだけで彼が笑顔になり、楽しいと感じてくれたなら、十分なのです。

学校は安心できる「居場所」としておきたい。

辛いことがあっても、その辛さを吐き出せるような場所。

誰もが受け入れてもらえるような雰囲気。

 

そんな「居場所」づくりを目指したい。

今も私を突き動かす原理の一つになっています。

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