毎日を映画のようにドラマのように生きること
私はその昔相当な空想屋さんだった。
幼稚園から小学校低学年までは、基本的に自分は魔女かナウシカだった。
小学校中学年くらいから映画好きの祖父と父の影響で沢山の映画を見せてもらい、私の空想にレパートリーが増えた。
その頃、私は魔女から優秀なスパイになった。
私は頭の中でスパイ映画の中の主人公になりきり、スリルのあるロマンティックな毎日を、愛する『空想』の仲間と生きていた。
空想で現実を乗り越える
四六時中空想を重ねて、毎日ワクワクしていた。
下校時は散歩しているおじさんを敵に見立てて小走りで巻いて帰ったり、
(おじさんごめんなさい)
お風呂に入れば水辺で撃たれた設定で、オフィーリアのように仰向けで水に沈みながら仲間の幸せ、国の幸せを祈った。
現実でうまくいかない人間関係や出来事も空想の中ならうまくいく。
自分は圧倒的に優秀なスパイだから、なんでもミッションクリアできるのだ。そしてハッピーエンドが前提の映画の主人公なのである。
こういう思い込みは平凡な生活をエキサイティングな日々に変えてくれた。
空想世界では憧れたものが全部手に入る。
本当にスパイになりたいのか
年齢を重ねるうちに自分に大事なのは空想の世界ではなくスリルのある映画のようなドラマティックな毎日なのだ。と薄々気付くようになった。
私はスパイになりたいわけではないらしい。
空想癖はすぐには消せないので少しづつ空想を減らして、
現実世界をベースにした『妄想』に変えていった。
現実で起きている問題を空想の中でとんでもない方法で解決して自己満足するのではなく、
(例えばいきなり爆破されてこの場がふっとぶとか、自分が国の重要なミッションを負っていることがバレて銃撃戦になるとかではなく)
問題を直視し分析をして、それを元に妄想の世界で成功体験を得る、
いわばポジティブな現実のイメトレに変わった。
スパイを辞めてから(!?)は、空想と現実のギャップに苦しむことがなくなり、より現実を楽しもうと現実のために行動ができた。
ポジティブマインド
現実だから常にハッピーエンドではないけれど、
失恋をしたときも就職活動でうまくいかなかったときも、
仕事で失敗したときも、私の世界はドラマティックでスリルがあった。
ベッドにつっぷして泣く自分も、鏡に映ったやつれた自分も映画のワンシーンのようにちょこっと演出しながら、
見返してやる!と新しいエピソードをスタートさせるように次に進んだ。
私の人生のテーマは今でも『映画のようなドラマのような、スリルがあり、ドラマティックでロマンティックでちょっとコメディー調の人生を生きる』ことである。
そのために感受性を豊かにして映画やドラマのワンシーンのような瞬間をたくさん作っている。
朝起きてクローゼットを開けて今日の衣装を考える。
今日という日をどうやってドラマ仕立てに過ごすのか、逆境も大事なエッセンス、辛いことがあればコメディーにストーリーを変更してお送りする。
私は小さい時に空想した世界にいた、
理想の自分自身になれている気がする。
魔女にもナウシカにもスパイにもなれなかったけどね。
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