江藤淳「妻と私」【読書記録】人は一人では生きていない
江藤淳の「妻と私」を読んだ。読んでるうちにこちらも時間の流れ方がどんどん遅くなり、ちょうど夕日が沈んでいくのを眺めているみたいな読書体験だった。
慶子がブレーキを踏めなくなることろから始まり、入院をし、時間は傾き、病院でふたりの「生と死の時間」を過ごす。妻・慶子の葬儀後に、慢性的に尿が出なくなり緊急入院をした江藤だったが、同書はそこから甦るように、いやそこから大きな振り幅でハイになり、「日常的な」時間に戻っていく。
あとがきでは妻との最後の時間を描いた同書の編集者などへの