(自筆公開日記)死有余辜 〜死刑でもそれで処罰しきれない罪である〜
(テキスト+読み仮名あり)
遂に、京都アニメーション放火大量虐殺事件の主犯格の青葉被告に「死刑」判決が下された。動機といきさつが、「負の妄想と憎悪」に因(よ)るものでまるでホロコーストと同じような事件として辛い歴史が焼きついてしまったと思った。
中国の秦檜(しんかい / チン・ホイ)は、無実の者を弾圧し何人も妄想といちゃもんで殺してきたから、死後に死刑で償えない分の処罰として、英雄の岳飛(がくひ / ユィエ・フェイ)を祀(まつ)る名所に、秦檜が処刑されている像を建立し、何百年にも悪事の反面教員「漢奸(かんかん 国や民族の裏切り者)」として大量虐殺の罪をあの世に行っても永遠に罰されるほどのとてつもない重い罪なんだ、と教えるために かつて像に石を投げさせるいましめがあった、というのを大学時代の留学生(杭州人)から教えてもらった。“死有餘辜”な残虐な事件だったのだから、きっと中国の京アニファンは秦檜の如く一生咎めたい、という思いを抱くだろう、いや世界中のファンが裏切られたと感じるんだろう。
(註釈)岳飛は、中国史に残る英雄の一人。本人は一生懸命国をおさめていたのだが、当時敵だった勢力と姦通され、姦通した秦檜らに謀叛の罪で家族も巻き込んで彼も処刑され殺されてしまった。しかし死後に「岳飛は謀叛を起こした」というのは秦檜による妄想といちゃもんで結局無実だとわかり、救国の主として名誉回復を遂げた。
自分は日本と中学の国際交流で知ったのが初めてだったが、日本漫画にも登場する人物なので、日本ではこれで知った人が多いかもしれない。
(日記中の故事成語・四字熟語)死有餘辜…シユウヨコ 中国語では今も使われて、「万死に値する」の意味に似る。直接訳すと「死刑で余った罪がある」。死刑で償いきれない罪があるほど、重罪であるという意味がある言葉。死刑判決が出た犯人に対し、死刑だけじゃ足りないほどにあまりにも罪が重いと判断し「死んだ後も償い続ける事になる」という気持ちを込めて裁判官が言うこともあり、「死ねば仏」と逆の意味にもとれる。