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プリンが崩壊する理由
この間の週末、友人と一緒に食べようと思って久しぶりにプリンを作りました。多くの人はプリンというと、台形を回転させた回転体、つまり「円錐台(えんすいだい)」の形(円錐の頂点から平行な平面で切り取った部分)を想像するかと思います。
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しかし私はこの形のプリン型を持っていないので、グラタン皿のような大きなお皿で作って、各自自分の食べたい分だけすくって食べるという夢のようなプリンにしました。ちなみにレシピは料理研究家の山本麗子さんのレシピが最高です。
これまでにも何度か作ってうまくできているため、普通にレシピ通りに焼き?蒸し?、冷蔵庫で一晩冷やしました。ほろ苦いカラメルソースもたっぷり入ったプリンがしっかりと固まり、ここまでは完璧です。
固まっていたはずのプリンだが
しかし、これを持って友人の家まで電車を乗り継ぎ、到着してひとまず冷蔵庫にしまおうとしたところ、固まりはどこへやらドロドロの物体になっていました。
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これはどういうわけなのか?私たちはさんざん考えました。
「久しぶりに作ったし、きちんと焼き加減を確認していなかったから、焼き時間が短かすぎて実は表面しか焼けていなかったのではないか?」
というのがその時出した結論でした。でも、以前作った時は同じ焼き時間で仲間で火は通ってしっかり固まったという記憶が私にはおぼろげながらあったので、いまいち納得しきれていませんでした。
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「次はもう少ししっかり焼いてリベンジしよう」ということでこの時はいったん落ち着き、2週間後にそのリベンジをしました。今度は焼き過ぎかと思われるくらいしっかりと焼き、ポルトガルのエッグタルトのような見た目になってしまいましたが、完全に固まっています。レシピは前回と同じなので、カラメルソースがこの下にたっぷり入っています。
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これを取り分けようとスプーンを入れると、ブワーッとカラメルソースが出てきて友人が歓喜の声を上げました。その時、私の頭にひらめきました。
「これって地震の時の液状化現象じゃない?!」
と。
液状化現象とは
北海道科学大学のウェブサイトに分かりやすい解説がありました。
液状化現象とは、地震などの大きな揺れによって地盤がドロドロの液体状になってしまう現象のこと。
砂の地盤というのは、砂粒と砂粒の隙間が水で満たされていて、普段は砂粒同士が摩擦によってかみ合い安定した状態になっていますが、地震が起きるとその揺れにより砂粒が移動し、さらに水圧がかかって砂粒子同士のかみ合わせがはずれてしまいます。すると、かみ合いのはずれた砂粒の層は泥水のようになり、ドロドロの液状へと変化し、上昇した水圧によって、泥水が地表へとあふれてしまう、ということです。
「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」というのもあり、ここには分かりやすいイラストがありました。
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この説明を読んでいると、徒歩や電車で運んでいる間の揺れでプリンの粒子?同士のかみ合わせが離れ、下に敷いてあったカラメルソースがその隙間を通って出てきたのかなと思えます。プリンは液状化現象によってドロドロになってしまったのでしょうか?
ChatGPTに訊いてみる
普通にネット検索して調べていてもらちが明かないので、ChatGPTに訊いてみました。
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私が作ったプリンはゼラチンを入れていないので、卵のたんぱく質によって固まっています。固まっているといっても、たんぱく質が網目状に結びつき、その中に水分が保持されているので、「固体」というよりも内部に水分が多い「半固体」の状態、つまり典型的なゲル構造になっています。そのプリンを持ち運んでいる最中の揺れで、たんぱく質同士の結びつきが緩み、構造が崩れやすくなってしまいました。それでゲルが形を保つ力が弱まり、完全に液体にはならないものの、流動性が増してドロドロとした柔らかい状態に変わってしまったということです。
ついでにこの構造を図にしてもらいました。左の固まったプリンのたんぱく質は、青い網目状の構造がしっかりと結びつき、安定したゲル状態を保っています。右のドロドロに崩れたプリンのたんぱく質は、赤色で示したように結合が途切れたり、隙間ができたりしていて中の水分が動きやすくなっているため、ドロドロと柔らかくなっています。
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液状化現象とプリンの崩れの違いが明らかに
液状化現象とプリンの崩れは似て非なるものだということが分かりました。比較表にすると以下のようになるでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1731488352-f4rj96KIiXsmxczLQVTaqnD7.jpg?width=1200)
つまり、液状化は「粒子の結合が離れる」ことで起こる現象であり、一方のプリンの崩れは「網目状の構造が緩む」ことで起こる現象です。固まっている部分が崩れ、表面に液体部分が出てくるという意味ではどちらも同じように見えますが、元の結合の仕方が「かっちりしているか」「ゲルのように緩いか」という違いによって、構造の崩れ方にも差があるということが分かりました。
まとめ
「レジリエンスを持ちましょう」というのが昨今の流行りではありますが、カチッとしている構造は変化の少ない環境では頑丈かもしれませんが、外圧などがかかり一度どこかが崩れると致命的になります。一方でゲルのようにゆるっとした構造は頑丈さはありませんが、よほどでなければ完全な崩壊にはいたらず、緩んだとしても構造は保つことができるというのは、それが物体でも組織でも人間関係でも同じなのだなと思いました。