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PADで自動コピペ勉強会(第2弾)⑦

 「未入力」フォルダに入っている申込書を順番に集計用紙にコピペして、コピペが終わった申込用紙を「入力済み」フォルダに移動していくという自動化フローができ上りました。一応これで通常のコピペならボタン一つで終わるようになりましたが、もし「未入力」のフォルダに申込書以外のファイルが紛れていたらどうなるでしょう?
 今日は申込書以外のファイルのコピペをしないように設定する方法を書いていきます。


別の部署とイベント時期がかぶっているとき

 「『未入力』フォルダに申込書以外のファイルが入ってることってある?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それがあったんです。厳密にいうと「申込書以外のファイル」ではなくて「別のイベントの申込書」だったのですが。
 ある部署でイベントを企画し、関連している会社に参加申込用紙をメールで送ってもらうようにお願いしているとき、同じ時期に他の部署でも別のイベントを企画して同じように関連会社に申し込みをしてもらおうとしている場合があるとします。まあ、ここまで完全に二つのイベントがダブっていることは少ないとしても、別の部署が同じ時期にアンケートをやっていたり何らかの資料の提出をお願いしているといったことはあるでしょう。会議の出欠登録のようなものをExcel用紙でやっているということもあるかもしれません。(ないことを祈りますが)
 こちら側としては一つのイベントの案内を送っているというだけですが、案内を受け取る側の会社としては、同じ組織からイベント開催の案内が来ているわけで、メールの送り先を間違うとか同じ部署に2つまとめて送るというようなことも起こりえます。
 下のイラストにあるように、私の部署でAイベントを開催する同じ時期にマーケティング部がBイベントを開催することになって、同じ関連会社に別々の部署から案内が届くといったことをイメージしてみてください。

同じ時期に別の部署がイベントを開催

 案内を受け取って申込をする会社側からみると、部署が違っているとしても同じ組織から案内が来たということで、AとBまとめて申込書を送りたいですよね。

AとBのイベント申込をまとめて送付

 担当者が、マーケティング部でもイベントを開催することを知らないまま、送られてきた添付ファイルを無意識に「未入力」フォルダに格納していると、Aイベントの申込用紙の中にBイベントの申込用紙が紛れているということが起こりえますよね。

「未入力」フォルダに別のイベントの申込用紙が紛れ込んでいる!

条件分岐で処理したくないファイルを取り除く

 まあ「添付ファイルを確認してからフォルダに格納してよ」と言いたくなるところですが、こういうことはいくら注意していても人が作業している以上は起こりえます。(そもそも同じような時期に別の部署で似たようなイベントを開催することを、メンバーが知らないという組織体制のほうが問題だとは思いますが)
 機械で処理をする場合には、人為的ミスは必ず起こるものとしてそれをチェックできるように設計する必要があります。ここで使うのが条件分岐です。条件分岐というのは 「もし〇〇ならこうする、そうでないならこうする」という指示を与えることです。申込用紙のコピペだったら「もしファイルがAイベントの申込書だったらコピペする、そうではなかったら(次には進まないで)『処理不可』フォルダに移動させる」という処理になります。

条件分岐

PADの条件分岐用アクション

 PADには条件分岐をするために「If」「Else」「Else if」というアクションがあります。まず「もし起動したファイルがAイベントの申込用紙だったら」というのが条件だったので、ここで使うのは「If」になります。

条件分岐に使う3つのアクション

 この3つの並べ方(使い方)は下のイラストの通りです。条件が一つだけなら「If」と「Else」だけで完成しますが、2つ以上条件がある場合は「If」と「Else」の間に「Else if」を入れて条件を加えていけばいいのですね。

条件分岐アクションの使い方

どういう条件を設定するか

 ここで「ファイルがAイベントの申込用紙かそうじゃないかをどうやって判断するの?」という疑問が出てきます。これにはいろいろな方法があると思うので正解は一つではありませんが、例として私が使った方法を紹介します。
 起動した申込用紙のタイトル、つまりB2~G2セルの部分をよく見ると、Aのほうは「イベント参加申込書」、Bのほうは「マーケティング講習会参加申込書」になっています。これはイベントが異なるので当然と言えば当然ですね。なのでここで判断しましょう。
 B2~G2セルはセルが複数結合されていますが、ここの部分をよくみるとExcelとしてはB2セルの値=イベント参加申込書という認識をしていることが分かります。

セル結合はしてあっても、Excelは「B2の値=イベント参加申込書」と認識

 そこで、「B2セルの値が『イベント参加申込書』だったらコピペ処理をして閉じて『入力済み』フォルダに移動、そうでなかったら閉じて『処理不可』フォルダに移動」という条件分岐を設定していきます。

申込書のタイトルで判断する

セル結合は厳禁

 ここで、VBAやPADなどを使っていくととても実感されると思うのですが、こうしたツールで自動処理をする場合、Excelのセル結合は絶対にしないほうがいいです。皆さんの職場にも「デジタル的な処理」や「自動でコピペ」など考えたこともないという昭和でアナログ脳の人がたくさんいらっしゃると思います。そういう人たちはよくこのセル結合を使って見た目をきれいにしたシートを作ってくるのですが、セル結合は人間の見た目のためだけにあるものであり、見た目などはっきり言ってどうでもよい機械にとっては1セルに1データとなっていることが極めて重要なんです。
 
 ちなみに政府の各省庁ではさまざまな統計を公表していますが、そうしたデータを政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載する場合は、表記方法を統一するルールが定められています。それが「統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール」というもので、2020年に総務省が策定しました。たとえPADでコピペをするというような初歩的なものであっても、データをコンピューターで処理しようとするなら、コンピューターが判読できるデータにしておかなくてはなりません。これは今を生きる私たちにとって、読み書きそろばんと並ぶ基本的かつ必須のリテラシーだと私は思います。

 話がそれてしまいましたが、PADを使うならセル結合は絶対にせず、もし入力する人の見た目を考える場合はセルの書式設定から「選択範囲内で中央」などを使って、見た目を整えるようにしてください。


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