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SWPBS座談会:#1 推進チームづくり

はじめに

先日、地域の学校の先生方と一緒にSWPBS(学校全体でのポジティブ行動支援)の取り組みについて座談会を開きました。SWPBSとは、学校全体で生徒のポジティブな行動を促進し、学習や生活環境を整えるための包括的な支援体制のことです。座談会の目的は、SWPBSを進める地域の学校の先生方と一緒にどうしたらSWPBSの推進ができるかを議論することにありました。

座談会はオンラインでの開催です。テーマや進め方は、テーマや進め方は参加者の関心に応じて柔軟に設定します。参加される先生方の関心事や悩みを教えていただき、大学教員も加わって知恵を出し合い、各校の推進に役立つアイデアを議論します。

今回は、新規に実践を始めようとする先生が最初に取り組む「推進チームづくり」が話題になりました。

推進チームはどうやって立ち上げる?

新規にSWPBSの立ち上げを進める先生からは、「推進チームのメンバーは?会議はどう設定するか?何を話し合うか?」といった質問をいただきました。

推進チームを効果的に立ち上げるためには、まず学校の現状や目指す方向性を共有することが大切です。その際、SWPBSの基本的な考え方をチーム内で共有することが出発点となります。新規校の先生方からの質問をもとに、すでにSWPBSを3~4年継続している学校の先生方がこれまでの取組みを振り返りました。他校の実践例を交えながら議論が進みました。

各校の主要なメンバーは、小学校でも中学校でも校長、教頭、教務主任、生徒指導主事は共通していました。ほか、SWPBSを特別支援教育に位置づけている学校では、特別支援教育コーディネーターが推進リーダーを担っていました。学校の主題研究にSWPBSを位置付けている学校では、研究主任を中心にSWPBSを推進しているというお話もありました。

以上のお話からは、学校の実情に合わせた組織づくりが行われている様子がうかがえました。SWPBS推進は、学校経営にかかる校長先生の判断が前提となります。その上で、チームとしての協働も必要です。こうした流れを踏まえれば、やはり学校ごとにチームづくりの進め方は異なるものだ、と感じました。そして、どの場合であっても管理職の先生方とは、SWPBSの良さや必要性に関するディスカッションを経る必要がある、ということも再認識しました。

また、別の例ですが、生徒会執行部がポジティブ行動マトリクスづくりや、日々のキャンペーン実施に関与する中学校の話題が挙がりました。この中学校では、生徒会選挙に立候補した生徒が、学校のポジティブ行動マトリクスの内容に沿って公約の実現を訴えるとのことです。もちろん、実際には、先生方の願いも伝え、効果的な取組となるような指導を受けながら活動が進むということもあります。その点、推進チームとの齟齬が生じないように、生徒会の担当者が推進チームに関与するという形をとっているとのことでした。

会議はどう開く?

会議は、推進チームの活動を進める上で重要な役割を果たします。どのように会議を設定し、効果的に進めるかについても、座談会では活発な議論が交わされました。

推進チームの会議の頻度は、隔月に1回、月1回とそれぞれの取組み方がありました。それでも、各校は定例で会議を設けていました。SWPBSを続けている学校は、総じて年度ごとの教育課程の見直しの機会に、次年度の会議日程を織り込むことで、必ず行われる環境を整えているようでした。

会議の効率化ということでは、通常の職員会議後や空き時間でのインフォーマルなやりとりを大切にする例が挙がりました。あらかじめ議題の整理を進めておいて、20~30分という短時間で効率よく進める工夫をしている学校もありました。会議の進め方として、(1)現在進行中の取り組みの進捗確認、(2)データをもとにした改善点の洗い出し、(3)次月のアクションプランの共有、というサイクルがつくられているという話もきき、見通しをもって議論を行うことの大切さを実感しました。データに基づいた議論と意思決定のサイクルは、議題が明確になる、話し合いがぶれない、メンバー全員が行動に移しやすい、といった利点も感じられました。

まとめ

このように、SWPBS座談会は、現場の先生方と大学教員が共に学び合い、それぞれの知見を持ち寄る貴重な機会となっています。今後も継続的に開催し、さらに多くの学校が連携して取り組みを深めていけるよう、参加者を募集します。ご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

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