もう戻ってこれない〜違法ドラッグの使用に対する啓発を目的とした広告の提案〜
「違法(または脱法)ドラッグを使用した」といったニュースや話題は、しばしば生活の中で聞くことがあります。
反社会的な人々であったり、一部の芸能人やスポーツ選手がそうして逮捕されたりした話はよく聞きますが、未成年や一般人の違法ドラッグの使用はあまり取り沙汰されないのが現実です。
統計上はそれなりの数の人々が違法ドラッグに手を出し、人生を棒に振っているわけですが、特に報道されない事、あまり使用後の顛末についてはクローズアップされないことから、「一度手を出しただけで人生終了」の恐ろしさがそれほど伝わっていないのではないかと私は考えました。
そこで、フレーザー錯視という同心円を使った錯視を利用し、町内会などの掲示板などにある「ダメ、絶対」の張り紙のような違法ドラッグの使用に対する啓発を目的とした広告を作成しました。
■ 工夫した点
胸を張って語れるのは、デザインの不気味さです。
人の画像を切り抜いてシルエットに加工し、大きさと角度に差をつけてフレーザー錯視上に配置し、錯視の持つ距離感を失うことなく、不気味さを添加することができました。甘い切り抜きによってできたシルエットの歪みが、更に不気味さを加速させるでしょう。
更にフォントは明朝体が歪んだ形のものを使用し、全て平置きではなく一部を円を描くように形成。白と黒の同じ形のフォントをずらして重ね合わせ、ブレた様子を作り出しました。
配色的に文字が見えづらくなっており、「今何か書いてあっただろうか」と足を止めて見てもらうことを狙いました。
■ 制作した広告画像はこちら!
大きなテーマは「落ちる」
あえて「どこに」とは言いません。
先の見えない渦の先に、老若男女問わず人が落ちて(堕ちて)行く様子を一枚の広告に現しました。
キャッチコピーは「誰も戻ってこれなかったんだ、違法ドラッグをやったばかりに」。
■ プロジェクトを終えて
初等教育で学んだことは「違法ドラッグをやってはいけない」事と、それを使用してしまうまでの大まかな流れのみで、使用後にどうなってしまうかは教わりませんでした。
無知とは恐ろしいもので、「どうせ数年か数ヶ月経てば刑罰からは解放される」といった甘い考えを持ちがちです。
法によって定められた刑罰からは解放されるかもしれませんが、失った社会的信頼は一生涯違法ドラッグの乱用者使用者問わず元の状態以上に戻ることはありません。
違法ドラッグの使用者には、10代の学生が散見されますが、現代の寿命は10代で全てを投げ出すには長すぎます。
ごく稀に、違法ドラッグの乱用や使用を誇る酔狂な人間もいますが、そもそも手を出さないのが一番なのです。