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サンエムカラーで印刷

4人のデザイナーと4つの印刷会社がタッグを組み、横田大輔さんの冊子をそれぞれ作るプロジェクト、「Print House Session」。サンエムカラー × 町口景チームでは、前回使用する色と紙を決める綿密な打ち合わせを終え、色校正まで完了しました。

さて、今回はいよいよ本印刷の様子をお届けしたいと思います。

【サンエムカラー工場。北工場と南工場の二箇所で印刷が行われる】


印刷の一つのポイントは、デザイン段階で決めた様々なこだわりをきちんと実現することです。そして色校正で確定させた色の出し方に実物を近づけること。印刷所は高い技術と工夫で、求められている品質の印刷を行います。

【ハイデルベルグ社製の印刷機。この機体には最大5色のインクが入る】


今回、印刷計画はサンエムカラーの会長・松井さんが行っており、作品のクオリティを高める印刷方法が採用されています。通常、印刷の黒い部分はスミ一色で刷られますが、発色をよくするため、3色を組み合わせることに。モノトーンにたいしてのトリプルトーンと呼ばれる印刷表現です。
また、今回選定された用紙は和紙なので、色が沈み発色が悪くなりがちです。それを防ぐためニスが印刷されます。1色刷りで印刷そのものはできてしまうように見えますが、なんと4色が使用されていることになります。

【中央部に4本の線。手前側ニス、印刷に深みを出すために奥は3色の黒】


そんなこだわりぬかれた印刷計画を実現するため、本印刷時には、印刷計画を行った会長と、刷る印刷機をマネジメントすると機長が目を光らせ、刷り取りのチェックが入りました。適切な濃度で印刷されているか、目視に加えて濃度計と呼ばれる機械を使って確認します。カメラマンが撮影の際に、光量を確認するために露出計を使うのに似ている、と噛み砕いて説明してもらいました。

【印刷計画を担当した会長・松井さんの綿密なチェック】


刷り取り確認が完了したあと、いよいよ本印刷です。紙が印刷機の中に吸い込まれ、先ほど紹介した4色のインクが刷られていきます。今回は4つの版があるので、刷り取りから本印刷という工程が合計4回行われます。
一つ目の版が終わるころになると、自然と人が集まってきました。インクの拭き取りのためです。何か工場内放送や声かけがあったようではないようですが、あうんの呼吸で行われる無駄のない連携です。いわくサンエムカラーの工場内の人員数は、規模のわりに他社と比べると多いとのこと。高い品質を維持するために、効率的かつ確実な印刷を行うためです。

【気づけばみなさんが集まり、清掃が行われる】


サンエムカラーの印刷は職人のものづくりのようでした。印刷そのものは印刷機が行うわけですが、機械が標準化されたプログラムで印刷を行うだけでなく、同社ではノウハウによって印刷方法を決定し、それを見事に再現するため人間の感覚で確認を行います。こうして高い品質の印刷物を生み出されていきます。 
工場に伺ったのは午前9時ごろ、一時間半ほどの印刷で合計4つの版の印刷が完了しました。印刷された用紙はこのあと製本所に送られ、本として仕上げられていきます。

【あっという間に印刷が終わる】


最後に今回印刷を担当してくださったサンエムカラーのみなさんを撮影。
ありがとうございました。


写真/文: 嶋田翔伍

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