インフォームド・コンセントとは?
臨床における意思決定の一つに,インフォームド・コンセントがあります。
多くの場合,インフォームド・コンセントは”説明と同意”と訳されていますが,その本質を改めて確認してみましょう。
日本看護協会の定義(2021年8月時点)
インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。
インフォームドコンセントは、ただ単に病状を告げ、同意書をとることではない。日常の場面においても、患者と医療職は十分に話し合って、どのようなケアを行うか決定する必要がある。
日本看護協会:https://www.nurse.or.jp/
上記の定義を見ていただくと分かると思いますが,インフォームド・コンセントは,説明をして同意を得ることではありません。
情報を共有し,皆で合意するプロセスであると明言されています。
なぜ,”説明と同意”では問題があるのかは下の図をご覧ください。
図のように「説明と同意モデル」では,一方通行のコミュニケーションになっています。そして,専門職に裁量権があり,本人・家族はそれを選ぶだけという構造です。
では,逆に情報共有・合意モデルを見てみましょう。
「情報共有・合意モデル」では,お互いが説明(多人数のこともある)します(それぞれの立場から意見を出し合う)。そして,それらの情報を集めて,皆が合意できる方針を決めます。
*この時,Jonsonの4分割などを用いて情報を整理します。
⇒Jonsonの4分割については別項で解説しています。
インフォームドコンセントが目指すのは同意ではなく合意であり,合意までの過程が重要なのです。
同意:他人の意見に対して承諾すること。
合意:意志が一致すること。
このことから,
「インフォームドコンセントをする」
「インフォームドコンセントをしてもらう」
というような言葉が,間違った使い方であることが分かると思います。
まずは,相手の話しをしっかり聞いてみましょう。
【参考文献】
・東京大学 死生学・応用倫理センター≪医療・介護従事者のための死生学≫基礎コース 臨床倫理エッセンシャルズ
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