意志決定のための状況整理(Jonsenの四分割を用いて)
倫理を考える上で,状況を整理する作業は欠かせません。
乱雑された情報の中では,何が重要なのかを決めるのは困難です。
現状の整理する手法として,Jonsenの四分割という方法があります。
これは,話し合う議題に対し,本人や家族の意見,支援者の意見,客観的データなどを,1)医学的適応,2)本人の意向,3)QOL,4)周囲の状況という4項目に分類して整理する方法です。
1)医学的情報
医学的情報は疾患の重症度や検査結果などの,エビデンスベースの客観的情報です。また,治療法やケアのメリットやデメリットも含まれます。
医学的情報は主に専門職が提供する情報ですが,支援を受ける人の中にはエビデンスよりも経験談を重要視する人もいるので,個別性の高い情報も有用な場合があります。
2)本人の意向
本人の主観的な意見です。「これからどうしたい?」という未来のことだけでなく,「今までどう生きてきたか」,「どのような人生観を持っているか」などの,その人のパーソナルな情報も含まれます。
3)QOL(Qualty of life)
本人の意向と重なることもありますが,本人の主観だけでなく,周囲の人から見て本人が良い表情をしている時などの情報も含まれます。周囲の人から見た本人の姿が,本人も気づいていない新たな自分の発見にもなるのです。
4)周囲の状況
生活環境や仕事,家族関係などの社会的な情報です。社会的情報の中には,本人があまり触れてほしくない話題が含まれることがあるので,情報の提示には注意が必要です。
以上,Jonsenの4分割を紹介してきました。
現状を整理し,言葉にすることで,本人がなにを大切にしたいのか,どのような支援策があるのかを明らかにしていきます。
【参考文献】
・Jonsen AR・Siegler M・Winslade WJ:臨床倫理学 臨床医学における倫理的決定のための実践的アプローチ 第5版 . 新興医学出版:2006
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