臨床での倫理を考える(ビーチャム・チルドレスの臨床倫理の4原則)
倫理とは社会模範のことであり,道徳と近い意味を持ちますが,「なぜそうするのか?」という理を含んでいます。そのうで,臨床倫理とは臨床における倫理的な問題を取り扱っていきます。
臨床においては,援助者の思いが倫理的な判断を誤らせてしまうことがあります。
例えば,看取り期における高齢者に「最後に口から食べさせたい」という思いからの行動が,窒息を招いてしまうようなことです。
臨床倫理は,支援者の独断や偏った善意にならないようにするために必要なのです。
さて,臨床倫理を考える上で基本となるものに,ビーチャム・チルドレスの臨床倫理の4原則というものがあります。
援助を行う上で,これらの項目を考慮していく必要があります。
それでは,項目を一つずつ見ていきましょう。
自立尊重で重要なのは,相手を人間として尊重し,双方向のコミュニケーションをとることです。
つまり,本人を無視して”勝手に決めない”ということです。
善行と無加害は表裏一体です。
最大のメリットと最小のデメリットを考えることです。
最後の社会的適切さとは,自分たちの支援が,第三者から見て適切なものか考えることです。特に,内輪での結束が強い組織だと,独自ルールが蔓延し,社会の視点が欠如していることがあります。
例え本人が望むことでも,社会的に不適切なことであれば実行してよいとは言えません。
以上,臨床倫理の基本を確認してきました。
改めて,まとめますと・・・
1)相手を人間と尊重し,双方向のコミュニケーションで支援を考える
2)相手にとって,最大のメリットを最小のデメリットとなる支援を考える
3)実行する支援が社会的に適切かを考える。
ということになります。
支援者の皆様が,カンファレンスや会議の場面で,改めて倫理的な問題を考えていただけたら幸いです。