iPhone14は売れるのか? 業績へのインパクトは?
この記事でわかること
iPhone14販売開始
iPhoneの最新版、iPhone 14/Pro/Pro Maxは2022年9月16日、iPhone 14 Plusは2022年10月7日から販売が開始されました。
iPhoneはアップルの旗艦商品であり、2021年度のアップルの総売上の約52.4%を占めています。
iPhoneの売上は、アップルウォッチなどのウェアラブル端末や、アップルストアの売上にも影響しますので、アップルの業績を左右すると言ってもいいでしょう。
iPhone14の売上高が出てくるのは10-12月期の決算からになりますが、今回は、現時点での好材料・悪材料からiPhone14の売上の行方を占ってみたいと思います。
5Gへの乗り換え需要は?
iPhone14は、iPhone12が5G対応モデルとなってから、3代目に当たるモデルです。
アップルの会計年度は10月始まりなので、2020年9月に5G対応となったiPhoneが決算に影響を与えたのは、主に2021年度からになります。
2021年度のiPhoneの売上高は、前年比39%増の1919.73億ドルです。
2022年度の第3四半期(2021年10月〜2022年6月期)の売上高は、前年同期比6%増の1628.63億ドルとなっています。
このことから、5Gへの乗り換え需要は順調に推移していると言えるでしょう。
iPhone14は需要大?
アップルは、製品の開発と販売を行っていますが、生産をしているのはサプライヤーといわれる部品の生産や組立を行っている企業です。
iPhoneの主要サプライヤーの一つにFoxconn(鴻海科技集団)という台湾企業があります。Foxconnが10月4日に発表した売上高は、前年月比40.39%増の8223億ニュー台湾ドルで、9月としては過去最高の売上高となりました。
これについて、Foxconnのプレスリリースでは、「新製品の発売と量産が順調に進んだため」と書いており、“新製品”とはiPhone14と思われます。iPhone14需要が大きかったことがうかがえます。
インフレや景気減速の影響は?
しかし、世界を取り巻く環境は過去2年と大きく変わっています。世界的に景気は減速し、ロシアのウクライナ侵攻により、地政学リスクは高まっています。
Foxconnにしても、10-12月期についてはインフレの高進などから楽観視はしていません。
米調査会社Strategy Analyticsによると、今年4-6月の全世界スマホ総出荷台数は、前年同期比7.3%減の2億9120万台でした。総出荷台数が減少した背景には、世界最大のスマホ市場である中国が、新型コロナウイルス対策でロックダウンしたこと、地政学的リスクの高まり、経済状況の悪化などを挙げています。
また、米IT調査会社のGartnerは、2022年通年でのスマホの出荷台数は、前年比で5.8%減少するとの見通しを発表しています。
ただ、米国でのiPhoneの価格は、iPhone12からPlus、Pro、Pro Maxの全てのラインアップで据え置かれており、性能の向上を考えると、前機種に比べて割安感がありそうです。
iPhone14成否の行方は「Pro」が鍵
5Gへの乗り換え需要、サプライヤーの動向など内部環境は、iPhone14の売上にとってポジティブなものが見られる一方で、外部要因では、景気減速や地政学リスクの高まりなど、ネガティブなものが目立ちます。
この環境下で注目したいのが、iPhoneの「Pro」シリーズです。
アップルが「Pro」シリーズを導入したのは3年前です。これまで「Pro」シリーズは、通常のiPhone/Plusに比べ、ディスプレイやカメラなどの機能が高いものが搭載されていました。
しかし、iPhone14では、これらに加えて、「Pro」シリーズのみに最新プロセッサ(A16 Bionic)を搭載しています。つまり、iPhone14/PlusとiPhone13は同じプロセッサが搭載されており、「Pro」シリーズの最上位機種感がより一層際立つ戦略を取ってきました。
実際、どれだけの人がプロセッサの性能を気にするのか、わかりません。
香港のリサーチ会社、カウンターポイント・リサーチによると、400ドル以上の「プレミアム」モデルのスマホの売上は、インフレ下でも一定の耐性をもつうえ、1000ドル以上の「超プレミアム」スマホ市場では、この傾向がさらに高まるとのレポートを出しています。
アップルにとって、iPhone14の成否の行方は、「Pro」シリーズに掛かっていそうです。
記事作成:2022年10月11日
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ライター:佐藤 隆司(プロフィールはこちら)
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