脱炭素社会で注目「パワー半導体」関連銘柄5つ
この記事でわかること
パワー半導体とは?
パワー半導体とは、電力/電源(パワー)のコントロールを行う半導体の一種です。大きな電流や高い電圧にも対応できるのが特徴です。
パワー半導体は、電気自動車(EV)や産業機器や再生可能エネルギーなどに必要な部品や技術として重要なことや「脱炭素社会」への切り札としても注目を集めています。
新素材の普及でさらなる市場拡大も
パワー半導体は、電力の変換や制御を行なうデバイスで、産業向けが主な用途です。
EVでは、バッテリーに蓄えられた電力を直流から交流に変換してモーターに供給したり、その際に電圧を制御したりすることで、スムーズな加減速を可能にするような役割を担っています。
太陽光発電でも、発電した電力を家庭に供給するため、直流電力を交流に変換する際に使われています。
このようにパワー半導体は、新エネルギー産業での市場拡大が期待されており、「脱炭素社会」へ向けた切り札として注目されています。
パワー半導体には、一般的な半導体と同様にシリコンが主な素材として使われていますが、ここにきて、発熱による電力損失を抑えられる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの新素材に注目が集まっています。
とりわけ、SiCパワー半導体は電気自動車のテスラがいち早く導入し、注目されています。
8年間で市場規模は2倍以上に拡大見通し
パワー半導体は、電気自動車や再生エネルギーの普及に伴い、今後の成長期待が高い分野と見られています。富士経済によるパワー半導体の世界市場見通しでは、2022年見込みの2兆3,386億円から2030年には5兆3,587億円にまで市場拡大が予測されています。
こうした市場拡大期待の高まりから、「パワー半導体」が株式市場のテーマとして浮上する場面がたびたび見られました。今後も引き続き注目テーマとしてチェックしていきましょう。
三菱電機|6503
パワー半導体売上高国内トップで世界でも第4位のシェア。
パワー半導体が使用される重電機器や産業機械、家電などの川下分野を幅広く手掛けていることが強み。
2025年度までの5年間で、パワー半導体への設備投資を1300億円計画。2023年に九州でパワー半導体量産拠点が稼働へ。
ローム|6963
SiCパワー半導体の世界シェアは14%で世界第4位。
2025年度までに最大1700億円を投じてシェアを30%にまで引き上げる計画。
新設した専用工場棟での本格量産を近く開始。日立アステモのEV用部品に採用が決定したほか、マツダとの部品共同開発も発表している。
デンソー|6902
トヨタ「ミライ」などにSiCパワー半導体を提供。
将来的にはSiCウエハーも自社生産していく計画。トヨタグループ企業であることが今後の展開の強みとなる。
Si系パワー半導体は台湾UMCと協業。2023年前半めどに300mmウエハーでのパワー半導体を生産計画。
アプライド・マテリアルズ|AMAT
半導体製造装置の世界最大手メーカー。
2021年にはSiCパワー半導体向け装置を投入。SiCは通常のシリコンと比べて硬く、製造工程においてウエハー表面を均一にするには先進的な技術が必要とされている。
テキサス・インスツルメンツ|TXN
米国の大手半導体メーカー、アナログICでは世界トップ。
自動車向け半導体では40年以上の実績を持ち、製品群は7000種以上にものぼる。
GaNパワー半導体製品のラインアップを拡大していることが特徴。
記事作成日:2022年12月29日
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