やさしい企業分析入門②損益計算書とは?
この記事でわかること
「やさしい企業分析入門①決算の基礎知識」では、「決算書」について説明しました。 決算書には、会社の1年間(四半期決算なら3カ月)の「お金」のことが、記録されています。
今回は、決算書の中から、会社が儲かっているのか、損をしているのかがわかる「損益計算書」を見ていきます。
損益計算書とは
損益計算書とは、一定の期間に企業にどれだけのお金が入り(収入)、どれだけのお金が出ていった(支出)かを示したものです。損益計算書を見れば、その企業が儲かっているか、損をしているのかが分かります。
損益計算書と言うと難しく聞こえますが、構成しているのは、大きく分けると売上、費用、利益の3つです。「売上-費用=利益」です。
売上や利益の伸びや売上と費用のバランスを見ると、企業の成長や効率よく利益を上げているかを把握できるため、損益計算書は、企業の成績表とも言われます。
5つの利益
損益計算書で、注目したいのは、「売上高」から費用や税金などを差し引いて求める「5つの利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益)」です(下図参照)。
図:損益計算書の仕組み
売上総利益
「売上高」は、企業が本業の商品やサービスを提供して得た収入の合計金額です。「売上高」から商品を売るための仕入れに掛かった費用(売上原価)を引いたものを「売上総利益」と言います。「粗利」という言葉を耳にすることがあると思いますが、「売上総利益」が「粗利」に当たります。
営業利益
さらに「売上総利益」から社員への給与、家賃、宣伝広告費など会社を運営するための費用(販売管理費)を引いたものを「営業利益」と呼びます。営業利益は、本業でどれだけ儲かったのか、あるいは損をしたのかを表す、大切な指標になります。
経常利益
「営業利益」から預貯金や債券の受取利息、株の配当金など本業以外での儲け(営業外収益)を加え、ローンや借入金を返済するときに支払う利息など本業以外で掛かった費用(営業外費用)を差し引いたものを経常利益と言います。
税引き前当期純利益
さらに経常利益に株や土地や建物などの売却で得た、その期にだけ特別な要因で発生した臨時的な利益(特別利益)を加え、災害による損害や、株や土地の売却で損をするなど、その期だけの特別な要因の損失(特別損失)を引いたものを税引き前純利益と言います。
当期純利益
税引き前当期純利益から法人税や住民税、事業税などを引いて残った利益を当期純利益と言います。当期純利益がプラスなら黒字、マイナスなら赤字となります。
損益計算書を見るポイント
株式投資をする上で、会社の業績がどのように変化しているか見ることは、とても重要です。
損益計算書の、「売上高」、「営業利益」、「当期純利益」を5年くらい並べ、各数値の増減を見ると、会社の成長度合いがわかります。
また、売上高の伸びと営業利益の伸びを比較すれば、効率よく利益を上げているかなどを推測することができますので、活用していきましょう。
記事作成日:2023年4月5日
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