GAFAMなど決算発表続々。アマゾンは久しぶりの増益へ
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株式投資で成功する鉄則は、将来に渡って成長していく企業を見つけることです。そこで注目したいのが企業業績です。米国の上場企業は、基本、年4回の決算発表が義務づけられています。決算期は企業によっても異なりますが、米国企業の多くが1-3月期(第1四半期)、4-6月期(第2四半期)、7-9月期(第3四半期)、10-12月期(第4四半期)という分け方を採用しています。
たとえば、1-3月期の第1四半期決算は、4月下旬から5月上旬にかけて発表されます。足元の米国市場では、第1四半期決算が続々と発表されています。そこで、世界的なIT企業として注目度の高い銘柄を中心に、直近の決算内容を見ていきましょう。
アップル|AAPL
アップルの2023年1-3月期(第1四半期)決算は2四半期連続の減収減益となりましたが、市場予想を上回っての着地となりました。主力のiPhoneの売上高が第1四半期としては過去最高額となりました。
iPhone以外の事業の売上高は、クラウドサービスiCloud、決済サービスのApple Pay、音楽配信などのサービス部門が前年同期比5.5%増でしたが、パソコンのMacが前年同期比31%減、タブレットのiPadは同13%減と苦戦しました。
第2四半期は第1四半期と同程度の減収になるとの見通しですが、決算発表と同時に900億ドルの自社株買いと四半期配当の4%引き上げを発表したこともあり、決算発表を受けて株価は上昇しました。
アマゾン・ドット・コム|AMZN
アマゾン・ドット・コムの2023年1-3月期(第1四半期)決算は売上高が市場予想を上回り、営業利益もこれまで収益を圧迫してきた物流費などの増加を抑えたことで、7四半期ぶりに増益となりました。
最終損益も投資先である新興電気自動車(EV)メーカーのリヴィアン・オートモーティブ社の株式評価損が減ったことで、黒字となりました。ただ、業績を押し上げてきたクラウドサービスのアマゾン ウェブ サービス(AWS)の増収率はこれまでで最も低く、クラウド事業収入の伸びが急減速しています。
アマゾン・ドット・コムはあらゆる部門でコスト削減を進めており、2万7000人の従業員の解雇や一部の新規事業の停止などを進めています。第2四半期の売上高については前年同期と比べ5〜10%増の見通しを発表しています。
アルファベット(旧Google)|GOOGL
ネットの検索エンジンでおなじみのグーグルなどを展開するアルファベットの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、売上高、純利益とも市場予想を上回る結果となりました。主力のインターネット広告は2四半期連続の減収となりましたが、小幅な減収にとどまりました。
動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」などへの広告掲載も増えており、また、米グーグルが力を入れているクラウドサービス「グーグルクラウド」が利益を計上したことは注目に値しますが、競合他社との開きは大きく、まだ予断を許さない状況です。
アルファベットはコストの厳格管理から、1月には約1万2000人の人員削減を決定する一方で、クラウドコンピューティングやAI(人工知能)などの強化を進めています。なお、決算発表と同時に700億ドルの自社株買いを発表したことは、株価にとってプラス材料です。
メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)|META
メタ・プラットフォームズの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、デジタル広告の売り上げが増加したことで、売上高が約1年ぶりに増収となりました。
メタ・プラットフォームズは多額の投資により、AI能力の強化に取り組んでおり、ザッカーバーグCEOは、「(AI事業が)アプリやビジネス全体で良い結果をもたらしている。より良い製品をいち速く生み出し、長期的ビジョンの実現に向けより強い立場に立てるよう効率化を進めている」と述べています。
続く第2四半期の売上高、純利益の見通しが市場予想を上回ったことは、株価上昇の材料となりそうです。
マイクロソフト|MSFT
マイクロソフトの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、主力のクラウド基盤「Azure(アジュール)」などが堅調だったことで売上高、純利益とも市場予想を上回りました。ただ、世界的なパソコン需要の落ち込みから基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の売上高は大幅減収となりました。
マイクロソフトはAI関連製品が売り上げを促進しており、AIへの取り組みを積極化しています。対話型AI「チャットGPT」を開発したオープンAI社への投資、検索サービス「Bing(ビング)」へのAI機能搭載などを打ち出しています。
インテル|INTC
インテルの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、パソコンやデータセンター向けの半導体の不振により、四半期として過去最大の赤字となりました。ただ、低迷する粗利益率が下期に改善するとの見方を示しています。
成長分野として期待の大きいデータセンター・AI向け半導体「サファイア・ラピッズ」の出荷を加速させる一方で、2025年までに最大で年100億ドルのコスト削減を進めています。
ゲルシンガーCEOは、最近中国を訪問した際にタワーセミコンダクター買収について当局者と協議したことを明らかにしました。ただ、買収の実現の時期は不明としています。
マクドナルド|MCD
マクドナルドの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、来店客数の増加とメニュー改定に伴う値上げにより、売上高、利益ともに市場予想を上回りました。インフレによる物価上昇が続く米国で、安価な価格が消費者の節約需要を呼び込んでいます。
マクドナルドはメニュー改定による値上げとともに、オンラインでの販売が増加しています。既存店売上高は全地域で予想を上回り、日本、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、英国が特に好調でした。
ただ、米国内の従業員の解雇や事業所の閉鎖などのリストラを進めており、リストラ費用が利益を1億8000万ドル押し下げています。
ペプシコ|PEP
清涼飲料大手ペプシコの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、コスト上昇分を補うため実施した値上げにより、販売数量は減少したものの、売上高、利益とも市場予想を上回りました。ペプシコは2023年通年の売上高と利益予想を上方修正しました。
2023年通年の実質売上高は従来予想の前期比6%増から同前期比8%増に、実質1株利益は従来予想の8%増から9%増に引き上げています。なお、年内に一部の地域で値上げを行う予定としています。株価は今回の上方修正を受けて、前日比2%高で取引を終えました。
ゼネラル・エレクトリック|GE
ゼネラル・エレクトリックの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、ボーイングやエアバスなどにエンジンを供給している航空部門の売上高が好調で、売上高、利益とも市場予想を上回りました。また、2023年通期の調整後1株利益予想を引き上げました。
新型コロナウイルスからの旅客需要が堅調で、新規受注やジェットエンジンのスペア部品、メンテナンスなどが好調に推移しています。一方、風力発電などの再生可能エネルギー事業は受注が増加しているものの、赤字が継続しています。
ゼネラル・エレクトリックは再エネルギーや電力事業で「GEベルノバ」を2024年に分割する予定で、その後は航空機事業に集中する方針です。
プロクター・アンド・ギャンブル|PG
日用品大手プロクター・アンド・ギャンブルの2023年1-3月期(第1四半期)決算は、すべての分野の商品を平均10%値上げしたことで販売数量は減少しましたが、増収増益となりました。
米国に次いで大きな市場の中国の経済活動が再開したことで販売量の回復が見込めることから、第2四半期の売上高予想を上方修正しましたが、利益は従来予想を据え置きました。
また、今年度の自社株買い目標の上限を引き上げたことも株価にとってはプラス材料です。
記事作成日:2023年5月8日
PayPay証券株式会社
https://www.paypay-sec.co.jp
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2883号