アップル、日本郵船など……値動きの謎を探る!
この記事でわかること
投資を始めると、日々の値動きが気になりますが、そもそも株価はどんな理由で動くのか考えてみた方も多いのではないでしょうか。もし、株価の動きにクセや傾向があるのなら、投資に活かせそうです。今回は、いくつかの銘柄を見ながら、株価がどのような理由で動いたか見ていきましょう。
アップル(AAPL)新作発表会を投資に活かす
毎年同じ時期に同じ商品の新作発表会を行う企業があります。その代表的な企業の一つが、アップルです。
アップルは毎年9月上旬~中旬に新型iPhoneの発表会を行います。iPhoneはアップルの売上高の約50%を占め、新作iPhoneの発表のたびに注目が集まります。
この時期、株価も上昇する傾向があり、アップルの2013年から2022年までの過去10年間の6月最終営業日から9月最終営業日までの株価を見ると、2015年を除いて、6月最終営業日より9月最終営業日の方が高くなっています。新型iPhoneに対する期待感が、株高に繋がっている可能性がありそうです。
日本郵船(9101)世相を映す物流株
株式市場には、その時々のテーマが存在します。テーマの移り変わりが、株価に影響することがあります。昨年の日本郵船の株価の動きは、テーマの変遷を見てとることができます。
昨年の日本郵船の株価は、3月に上場来高値に迫る4163円を付ける場面が見られました。これは、新型コロナウイルスの影響で、世界中で原材料の調達から工場での製造や物流など、いわゆるサプライチェーンに混乱が生じ、貨物運賃が高騰し、同社の業績が急激に拡大したためです。この時は、サプライチェーンの混乱が市場の大きなテーマでした。
しかし、同じ3月に米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)が、インフレの進行を抑えるために利上げを実施すると、市場のテーマがサプライチェーンの混乱から、金融引き締めによる景気減速に移りました。その後、FRBが大幅な利上げを実施したことから、日本郵船の株価は大きく下がり、昨年9月には2422円まで下落しました。市場テーマの変化に、株価が翻弄されたと言ってもいでしょう。
三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)利上げで業績改善?
昨年12月20日、日銀は金融緩和政策の修正に踏み切り、事実上の利上げを実施しました。利上げは株式市場では、マイナス材料となることが多いです。この日の日経平均株価は、前日比669.61円安(2.46%)の下落となりました。
ただ、一部の企業にとっては、利上げがプラス材料と解釈されることがあります。その代表的な例が、銀行です。銀行にとって金利の上昇は、貸出金利の上昇などで業績アップに繋がる可能性があるからです。三菱UFJフィナンシャルグループの株価を見ると、日銀が金融緩和政策の修正に踏み切る前日、12月19日の終値が772.2円だったのに対し、翌20日は818.4円、今年1月4日は926.2円まで上昇しています。
ロッキードマーチン(LMT)噂でBuy事実でSell
「噂で買われて事実で売られる(Buy the rumor, sell the fact)」、これはよく知られた相場格言で、文字通り、「噂で買って、その噂が事実となったら売る」という意味です。
この通りの値動きとなったのが、ロッキードマーチン(LMT)などの米防衛産業の株価でした。2021年12月頃からロシアがウクライナに侵攻する可能性があると報じられると、ロッキードマーチンの株は上昇し、そして、侵攻が事実となると、3月に高値を付けた後は一転して売りが先行し、9月には侵攻前の水準まで下落しました。
今回取り上げたのは、比較的よく見られる値動きです。株の取引をする前に、その株がどんな理由で上げたり下げたりするのかを調べておくと、高値づかみの安値売りとなるリスクを軽減できる可能性があります。
記事作成日:2023年1月11日
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ライター:佐藤 隆司(プロフィールはこちら)
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