【銘柄情報】2022年3月 エネルギー問題で注目の総合商社 日本5社
OPECプラスによる協調減産を受けての原油価格の上昇や、世界的に急速な脱炭素政策を推し進めたことを受けた天然ガス価格の急騰など、いまエネルギー価格は歴史的な上昇をみせています。
日本は天然資源に乏しく、エネルギーの多くを輸入に頼っていますが、それを担うのが商社です。
今回は、エネルギー価格が急騰する中、PayPay証券の取扱銘柄から、日本の総合商社やエネルギー関連商社の動向をみていきます。
INDEX
伊藤忠商事|8001
鉄鉱石や鉄鋼建材に加え、パルプ市況の堅調などを受けて、伊藤忠商事は今期の純利益通期見通しを前期比で2倍となる8200億円としました。
ただ、同社は、資源価格は来年中ごろ以降に調整される可能性があるとし、高騰が続く資源価格の先行きに対しては慎重な見方を持っています。
また、ロシアの原油ガス開発事業「サハリン1」に参画している同社ですが、米石油大手が同事業からの撤退を発表しました。ロシアへの国際的な批判が強まるなか、事業の継続に影響が出る可能性もありそうです。
なお、バフェットの年次書簡「株主への手紙」が先月に公開され、昨年に続いてバークシャーの保有額上位15銘柄に伊藤忠商事(2021年12月31日時点、8924万株)があることが明らかになりました。(エイチスクエア)
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三井物産|8031
三井物産は、資源・エネルギー分野に強く、特に石油ガス・持分権益生産量では日本の商社のトップとなっています。
同社はエネルギーでは、石炭や石油に比べて燃焼時の二酸化炭素(CO₂)の少ない液化天然ガス(LNG)に力を入れており、LNGの生産能力が増加しています。
ロシア極東のサハリンの原油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」にも同社は参画し、12.5%の権益を保有しており、「サハリン2」は日本へのLNGの輸出拠点となっています。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて西側諸国がロシアへの経済制裁を強化するなか、英大手石油会社のシェルは「サハリン2」から撤退することを決定しましたが、三井物産は現時点では「サハリン2」からLNGの調達を継続する方針です。(エイチスクエア)
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住友商事|8053
住友商事は、昨年4月にカーボンニュートラル社会の実現に資する次世代事業の創出を掲げ、従来の部門の枠組みを越えた新たな営業組織「エネルギーイノベーション・イニシアチブ」(EII)を新設しました。
EIIの取扱い分野は、水素・アンモニア利活用などのカーボンフリーエネルギー関連事業、分散型電源・環境価値を活用した電力・エネルギープラットフォームの構築などの新たな電力・エネルギーサービス事業、次世代バイオエネルギー開発などのCO2の吸収・固定・利活用関連事業となっています。
同社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、一般炭鉱山開発事業において、新規の権益取得は行わず、2030年に一般炭鉱山持分生産量ゼロを目指す方針です。
また、同社株主のオーストラリア環境NGOのマーケット・フォースからは、2021年以降、既に開発許可が下りているものを除き、石油・ガスの新規採掘・拡張は行わないよう求められています。
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三菱商事|8058
三菱商事は先月、業績の上方修正を受けて追加の株主還元を検討していると表明し、自社株買いも含めて総合的に判断するとしています。昨年の中間決算時には通期見通しを3800億円から7400億円に倍増させ、その後も資源高に加え、自動車・モビリティや食品産業など多くの事業が好調を維持していることで、2021年度の業績見通しを8200億円まで引き上げました。追加株主還元の詳細については、5月上旬に予定されている期末決算の公表時に発表するとしています。
また、今月17日には事業ポートフォリオの入れ替え・強化の一環のため、保有する三菱商事・ユービーエス・リアルティ株を全て米投資ファンドKKRに譲渡すると発表しています。譲渡価格は1157億円、譲渡日は4月が予定されています。(エイチスクエア)
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岩谷産業|8088
岩谷産業は産業用・家庭用ガス、LPGなどを取り扱う総合エネルギー商社の老舗です。
カセットコンロで国内市場の約80%、カセットガスで約60%のシェアを誇る最大手として有名ですが、同社は原料価格や物流費の上昇などを受け、カセットこんろを4月以降の出荷分を約5~15%、カセットガスを6月以降の出荷分を約15%引き上げることを発表しました。値上げによる消費者離れは懸念されますが、トップブランドほど値上げが浸透しやすい傾向があります。
また、同社は水素事業に積極的で、21-23年度の中期経営計画期間に水素関連には600億円を投資する計画です。地政学的リスクなどによる原油価格の高騰から、脱炭素や代替エネルギーとして水素が再び注目を浴びる可能性もあります。(エイチスクエア)
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記事作成:2022年3月23日
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ライター:佐藤 隆司(プロフィールはこちら)
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